2015年5月17日(日)、「大阪市における特別区の設置について」、いわゆる大阪都構想の住民投票が行われた。賛成派・反対派の双方とも、リアルな世界で、ネットの世界で、全力で戦った。僕は賛成派だった。結果は、賛成694,844票、反対705,585で反対が多く、否決された。正直に言って、驚くほど悔しい。ここまで世界の事象について悔しいと思うことが久しぶりで、この心から湧き上がる感情とどのように向き合えば良いのか少々困惑している。そこで、負け惜しみかもしれないが、今の自分にできる精一杯のことをやっておこうと思う。今回の住民投票を、少しでも未来の大阪のためになるように。まぁ、手紙みたいなものか。

未来の改革者である君へ

賛成派の中には、世の中に、大阪に失望してしまった人もいるかもしれない。改革の気運は停止し、逆回転を始め、大阪の衰退が加速すると考える人がいるかもしれない。だが僕は、この失望の中に、未来の改革者が少なくとも数名以上生まれたと考えている。それらの改革者によって今後もう一度、大阪が日の目を見るチャンスが必ず来る。僕はそう信じている。そんな改革者のために、今回はどうして否決となったのか、どうすれば可決まで持っていけたのかについて、素人目線ではあるが書いていきたい。君が改革を進めるときに、少しでも参考になれば良いのだけど。

名称・表現について

今回の選挙において、一定の住民は「名前」にこだわることが分かった。「「大阪都」という名前が嫌」「湾岸区が書きにくい」などがある。信じられないかもしれないが、こういうことも反対理由としてあげられている。もちろん名称は後ほど変更可能だったのだが、そのような情報が浸透しない人間もいる。また、改革内容の表現にも最大限気を使うべきだ。今回はほとんどの新聞やメディアで「大阪市を廃止し、5つの特別区を置く大阪都構想」と表現されていた。「廃止」というのはあまり良い表現ではない。今回の改革の本質は「大阪市と大阪府を統合し、住民に近い5つの区を設置する」というものであった。「廃止」ではなく「統合」なのだ。「府と市の力を合わせて強力に大阪の都市計画を推し進める一方、住民のニーズに合わせた区が小回りが利く行政サービスを行う」というもの、これが都構想の本来の目的だった。だが、「廃止」という言葉が独り歩きすることによって、「大阪市を潰す」という流れになってしまった。全く違う。本質は「統合」なのだ。だから、君が次に改革を行う際は、名称や表現に最大限に気を使うようにするべきだ。

メディアについて

もはや出来る限り逆らわない方が良い。今回の改革の先頭を走っていた橋下さんは、メディアのレベルを上げるために記者に対しても勉強不足であればどんどん突っ込んで切り替えした。ネットに橋下さんがメディアのレベルが低い質問をバッサリ切り落としている動画があふれかえっているから見てみると良い。あのやり方はメディアからは当然ながら反感を買う。上記のような「廃止」を連呼される可能性もある(日経新聞はかろうじて「再編」という表現をしていた)。よくわからない番組構成で反対派とやり取りさせられる可能性もある。自分の部下のスキャンダルを執拗に追い掛け回される可能性もある。とにかく、その時代のもっとも影響力が高いメディアとのバトルは出来る限り控えた方が良い。残念ながら2015年時点でもっとも影響力があるメディアはテレビ・新聞だ。何も媚びへつらったほうが良いと言っているわけではない。普通の対応を心がければ十分だ。そして、出来る限り公平な報道を行ってもらうように工夫すれば大丈夫だ。

マジョリティについて

今回の投票で唯一反対の票が多かったのは70代以上の人々だった。20代、30代、40代、50代、60代の全ての年代で賛成派が多数の票を獲得した。だが、結果は反対多数だった。なぜか。単純に数が多いからだ。これは日本が抱える構造的な問題だ。今回の70代以上の反対派の意見で「高齢パス(高齢者優遇のもの)が使えなくなると思った」「20年後に効果があると言われても、そこまで生きているかわからない」というものがあった。非納税者が納税者の意見を踏み潰して自分の利益を優先する。子供より孫より自分が大事という現実が鮮明になったが、今回はそれが完全に浮き彫りになった点を絶対に教訓にするべきだ。「高齢者にも優しい」という点をどんな形でも絶対に入れなければならない。そうでなければ、もはやどのような改革でも潰される。もう一度言うが、70代以上の人々以外は全て賛成多数だった。この日本のマジョリティをどうにかして取り込まないと、もう改革なんて不可能な状態になってしまっている。

外野について

君が改革を進めていると、急に外野から反対の声が飛んでくることがある。今回も大学の教授がいきなり改革に文句をつけて、全く持って見当はずれなことを次々と論じていた。まぁ肩書きだけみれば大層に見える人なんだけども、その文句の内容を見ればわけのわからない理屈を並べてとにかく反対することに必死という有様だった。さらに、「生徒の睡眠すら覚ませないつまらない講義を行う」教授たちをズラズラと並べて、こんなにも多くの教授が反対しています!と恥ずかしくてたまらないパフォーマンスを行った。なんのことはない、ふたを開けてみればただの「改革者が嫌い&利権絡み」だったというオチだったのだが、反対派の人々はこの全く現実に沿っていない文句の内容を垂れ流し始めた。やっかいなことに、橋下さんは直接討論しようと言ったら「言論弾圧だ」と意味不明な理由をつけて逃げ回った。君が改革を進めようとするときにも、このような人が現れて、本などを出版して小金稼ぎを行うかもしれない。これに関する対策は、申し訳ないが今の僕には思いつかない。

サポーター&アンチについて

君が改革を行う頃にはツイッターは存在しているだろうか。君が改革を進めるときは、必ず多数の賛成派と反対派が君の周囲に出現する。どれほど素晴らしい政策でも、必ず両方現れる。僕は今回サポーター側だったので、様々なアンチの動きを注目していた。そこで、数種類に分けることができた。少し紹介したいと思う。

  • 罵詈雑言アンチ
    これは、君が何かを言う度に登場して、色んな暴言を君に吐きかけるアンチだ。基本的にアンチはこの性質を備えていて、君が何を言おうととにかく罵詈雑言を浴びせてくる。多分、君のことが嫌いなのだろう。だが、100%好かれる人間なんて存在しない。気にしないこと。
  • 自称学者アンチ
    自分の勉強している分野をひけらかすアンチだ。厳密にはアンチではなく、ただ自分の勉強分野を紹介したい、自分は賢いと思わせたいだけだが、人の気を引くために君に暴言を吐いてくる。そして君のサポーターに急に絡み、「○○について答えろ」と急に講義が始まる。不思議だ。
  • 真偽不明情報拡散アンチ
    君に対する真偽不明の情報をとにかく拡散するアンチだ。これも当然最初の罵詈雑言を浴びせながら、君に対するわけのわからない情報も画像つきでプレゼントしてくれる。君も人間だから落ち込むかもしれないが、相手にしなくても大丈夫だ。

僕の見た限り、大きく分けてこれら3種類のアンチが確認できた。君に知っておいてほしいのは、「こういう人はいつの時代も絶対に現れる」ということだ。君にだけ現れたわけではない。特徴的なのは、これらのアンチは相手をすると大幅に反応してますますアンチ行為が激化する。サポーターの皆も聞いてほしい。これらのアンチは、「相手をすると激化する」のだ。ここまで言えばどうすれば良いかわかると思う。とにかく、相手にしないようにすること。するとしても、理性を持っていそうな、純粋に反対しているような人だ。

大事なことなのでもう少し深く。ネット上でこれらのアンチと戦ってはダメだ。次々に登場して、君の心も荒んでしまう。大事なのは、「現実世界で1票を入れてくれる人」を増やすことだ。だから、サポーターの方々も基本的にはアンチの相手をせず、とにかく現実の世界で友人や知人に投票をするように仕向けよう。大事なのはアンチを論破したり、アンチの真偽不明の情報を解消することではない。大事なのは「1票」だ。

終わりに

このように簡単に素人目線で3つほど書いてきたが、君が次に改革を行う時には時勢が変わっていると思う。だけど、少しでも上記の点が参考になり、改革の助けになればこれほどうれしいことはない。以下は、僕自身への発言だ。気にしないでほしい。

  • 組み合わせろ
  • 躊躇するな
  • 思考しろ
  • 取り込め

これは僕自身への反省だ。ここまで大切な選挙にも関わらず、反省が大量にあるのが悔しくて仕方ない。僕があまりにも無力だったのが悔しくて仕方ない。もっと仕事して、もっと勉強して、もっと信頼される人間になる必要がある。必ずもう一度来るであろう、大阪が日の目を見るときには。

そのときこそ。