僕はこの数年の間に数回引っ越しを行っている、いわゆる引っ越し貧乏と言われるものなのですが、その引っ越しを行う度に検討していることがあります。それが、「持ち家か、賃貸か」ということです。

持ち家か賃貸か

前回の記事「住む場所について」で、僕は出来る限り会社の徒歩圏内に住むべきだという話をしました。この話は特に社会人になったばかりの男性に当てはまることだと思っています。そこで今回は、住む場所は大体決まったのだけど、果たして家はローンで購入したほうが良いのか、それとも賃貸で済ませた方が良いのかということについて書いていきたいと思います。

持ち家・賃貸のメリットデメリット

一般的に考えられている持ち家と賃貸のメリットデメリットを比較してみます。まずは持ち家のメリットデメリットについて考えてみます。

持ち家のメリット

  • ローンを完済すると家は自分のものになる
  • 自分好みに部屋を改装できる
  • 所有欲が満たせる
  • 値上がりすれば売れば儲けがでる

持ち家のデメリット

  • 毎月の支払金額の変更が困難
  • 転勤や海外駐在などの際、対応が困難
  • 家族が増えるときにも部屋を変えられない
  • 数千万という巨額の借金を背負うことになる

次に、賃貸のメリットデメリットについて考えてみます。

賃貸のメリット

  • 住む場所を気軽に選択できる
  • 転勤や駐在に伴い、解約可能
  • 家賃を予算内で選べる
  • ライフスタイルに応じて引っ越し可能

賃貸のデメリット

  • 家賃はただの費用となる
  • 割高(大家さんの利益分)
  • 良い物件が少ない
  • 部屋の変更は難しい

このように持ち家と賃貸を比較してみると、「長期的に生活に変化がないと考えられる人」に向いているのが持ち家で、「生活に様々な変化が訪れる人」に向いているのが賃貸と考えることができます。持ち家は最終的に資産になるという安心感、賃貸はいつでも生活を変更できるという自由度で双方別の長所があります。

ここから、持ち家と賃貸の比較を会計学(というより簿記)の視点から考えてみたいと思います。

会計的に考えてみる

持家なのか賃貸なのかという点において、会計の視点から考えてみたいと思います。持ち家とはローンを組んで家を購入すること、そして賃貸とは部屋を借りて住むことにします。現金一括購入の話ではないことをご了承ください。

まず、持ち家を購入するときの財務諸表の動きを見てみます。一番初めにすることは、ローンを組んで家を購入することです。細かい諸費用などは簡易的に考えないようにしています。そのときの仕訳が以下のようになります。

Dr:家
Cr:長期借入金(住宅ローン)

となります。まず貸借対照表に家という資産と長期借入金という負債が発生します。現実には家は銀行に担保に取られるので自分の資産ではありませんが、ここはあえて自分の家としておきます。そして、毎月ローンを支払う段階では以下のようになります。

Dr:支払利息
Cr:現金

利息が費用となり、現金が出ていっているのがわかります。これをローンの支払期間が終わるまで続けるのが家を購入するということです。

次に、賃貸で部屋を借りたときの仕訳を見ていきます。こちらは貸借対照表に計上されるものは何もなく、毎月の家賃支払いの際に起きる仕訳として

Dr:支払家賃
Cr:現金

となり、現金が家賃分なくなるだけです。ほとんど動きがありません。ただこれをずっと続けるのが賃貸の部屋に住むということです。この仕訳だけを比較すると、支払いの段階ではほとんど変化がないと感じるかもしれません。費用の項目が「利息」なのか「家賃」なのかという違いがあるだけです。ただし、これを貸借対照表の違いで見ると大きな違いが分かります。そうです。「家」と「長期借入金」です。

財務分析の視点

ここで財務分析の視点を入れてみると、貸借対照表に家と長期借入金が計上されていることが普通に危険だということがわかります。まず、家は資産の欄に計上されていますが、実質は何もお金を生み出しているわけではないので、資産の本質の定義からは資産だと捉えることが出来ません。資産は最終的に持ち主に現金を持ってくるものでなくてはならないからです。バイクや車と同じようなものです。ただの高価な持ち物だと考えても大丈夫です。

そして、もう一つの「長期借入金」、こちらが非常に厄介です。「住宅ローン」という名前になっていますが、本質は普通に「借金」です。借りている期間で絶対に支払い切らなければならない借金です。万が一支払いが滞ると一気に自分の信用を失い、社会的に生きるのが難しくなります。一般的な人が借金を数千万円も行い、何のお金を生み出さない家を購入しているのが「持ち家を買う」という行為の一面です。

そして、仮に3000万円の家を35年ローンで購入したとします。また、ローンを借りて家を購入した直後に手元に現金が100万円残っていたとします。さて、ここから35年かけて借金を返していくわけですが、今この状態を企業に対する財務分析で見てみると、安定性は最悪です。安定性を見る指標として、「自己資本比率」と呼ばれるものがあります。

一般的に、自己資本比率は50%を超えていれば優良企業である、倒産しにくいと言われています。ちなみに10%を切ると非常に危ない状態と言われています。いつ倒産してもおかしくないということです。では、上記の条件で家を購入した人の自己資本比率はいくらになるのでしょうか。

約3%です

もう一度言いますが、約3%です。しかもその危険な借金を冒してまで購入した家は現金を生み出しません。自分で稼いだ分しかローンの支払には充てられないのです。これは企業としては最悪の部類に入ります。僕なら絶対に投資できません。

35年という長さ

また、35年という何十年も超える期間にかけて借金することも非常に危険だと思います。今が2015年だとして、35年前は1980年です。1980年と言えば、今調べてみたところ任天堂がゲームウォッチを発売、ヤングジャンプが創刊、イラン・イラク戦争が勃発した年のようです。その年からの35年間、一体このような世界になると誰が想像できたでしょうか。ソ連崩壊だって1991年です。他の国もたくさんデフォルト(要は倒産)しています。

国だって倒産するような時代なのに、自己資本比率が3%程度の状態で35年も借金を返済し続けるということは、もはや時代にあっていないと言わざるを得ません。右肩上がりの生活がほぼ決まっていた昭和時代ならまだしも、これからは不確実な要素がさらに高まる時代です。来年のことも全く読めないのに、数十年もかけて巨額の借金を背負うのはさすがに危険と言わざるを得ません。

※ただ、3000万円のローンを組んだ後にも現金として3000万円別に保有している場合は、自己資本比率は50%程度になりますのでそこまで危険ではありません。その場合でも、ローンの期間を10年など短いものにした方が安全性は高まります。

まとめ

持ち家か賃貸かということになりますが、僕はまずは賃貸の方が圧倒的に有利だと思います。何よりも「身軽」なのです。この時代に数十年も家に縛り付けられる暮らしというものは現状に合っていません。結婚したり、子供が出来たり、子供が大きくなったり、家から社会人として飛び出すかもしれません。そのようなライフスタイルの変化を、1つの家で賄おうとすることも難しいと思います。

もしそれでも買うのであれば、お金を思いっきり貯めてから買うか、身の丈にあった金額とローンの期間で買うようにした方が良いと思います。以上で、持ち家か賃貸かの話を終わりたいと思います。