勉強の方法がわからない、そんな人へ。

何を隠そう、僕は高校卒業まで最高に頭が悪かった。ひょんなことから一発奮起して大学受験を決意するのですが、何よりも先に「勉強とはどのようにすれば良いのか」ということすらわからないレベルでした。

具体的な指標をあげるとすれば、当時の僕は予備校に通うことになったのですが、最初に受けた実力判定用のセンター模試のような測定で偏差値30点代でした。高校の偏差値も今調べてみると40点代であり、その高校でも下位を争うレベルだったので、あの測定は間違いないと思います。

もう少し詳しく僕の当時の学力について書くと、最初に受けた実力判定用の模試はセンター式、つまり大半が選択問題だったので、最初から最後までわからないままに回答する(大体選択肢A~Dの、Cにマークを付けた。1~4だったかな?)と、何問かは運で正解になり、70/200くらいのスコアだったと記憶しています。なので、僕の偏差値は実際は「測定不能レベル」で悪かったと思います。英語という科目で見ると、「Be動詞」という単語を知ったのも高校卒業後でした。HeやSheの活用もごっちゃにするレベルでした。実話なのが悲しいところです。

僕が受験科目にしたのは「英語」「国語」「世界史」でした。未だに世界史を選択したことは後悔していますが、英語と世界史のレベルが同程度、つまりセンターレベルが最初から最後までわからないレベル、そして国語は何となく勘で解いて偏差値50程度でした。このような状態から受験勉強を開始したのが5月初旬で、翌年の2月に大学の試験だったので、実質10か月程度の勉強で、ある程度有名な私立大学に、学費半額の奨学金をもらえるレベルの学力まであげることが出来ました。

この結果に一番驚いていたのは両親です。しばらく僕とはどのように会話すれば良いのかを探っているような状態でした。これも実話なのが悲しいところです。

さて、冒頭にも書いた通り、僕は「どのように勉強すれば良いのかすらわからない」といった状態だったので、勉強を開始したときに、まずは「勉強方法の勉強」から始めることにしました。今思うと、この選択こそが僕の人生を変えるきっかけであり、今日まで続く勉強の基礎となっていると思います。前置きが長くなりましたが、この時に僕が出会った勉強方法の中でも、最も役に立ったものについて紹介したいと思います。

エビングハウスの忘却曲線

僕が勉強方法の勉強をしている中で、最も役に立ったのはこの、「エビングハウスの忘却曲線」です。これは、人間がモノを忘れる仕組みを曲線で表したもので、人間の記憶の定着度と時間をグラフで表しています。

forgetting curve

こちらがその忘却曲線になるのですが、縦軸が記憶の量、そして横軸が時間となります。赤い線を見ていただくと、右に行くにしたがって記憶の量が激減していくのがわかると思います(緑の線は後ほど説明します)。これを具体的な数字で表すと、

  • 20分後に約40%
  • 1時間後に約55%
  • 1日の後に約75%
  • 1週間後に約77%
  • 1か月後に約80%

の記憶を人間は失っているというものです。僕が最初にこれを見たときは衝撃をうけました。頑張って暗記しても、1日もたてば7割以上は忘れているということになります。そしてこの忘却曲線の比率は人間によって大きな違いがあるわけではなく、ほとんどの人間で同じということでした。人は記憶力の違いはそこまで大きくないということです。これは当時の僕を安心させてくれました。僕だけが勉強が出来ないわけではなく、皆同じ割合で忘れていくのだと。

忘れる割合

そして、この忘れる割合が時間が経つにつれてほとんど変化しないことが気になりました。1日で75%も忘れているのに、そこから1週間も経っても77%、つまり2%しか忘れていないことになります。そこから3週間が経った1か月後にも80%、つまり3%しか追加で忘れていないということになります。このことが気になったので、さらに勉強方法について深く調べることにしました。そうすると、また1つの情報に出会うことが出来ました。

短期記憶と長期記憶

それが、短期記憶と長期記憶という概念です。人間には2つの記憶方法が備わっており、それが短期記憶と長期記憶になります。簡単に説明すると、まず人間は全ての情報を短期記憶として保持します。そして重要だと判断した情報を長期記憶に移行して、長期的に保持するということになります。短期記憶ではじかれた情報は文字通りすぐ忘れてしまい、長期記憶に移行した情報は長く覚えているということになります。

上記のエビングハウスの忘却曲線でいうと、1日後に忘れられた75%の情報は「短期記憶」で終了した情報であり、そのあとに忘れていない、つまり1か月後にも覚えているような20%程度の情報が、「長期記憶」に移行した情報ということになります。

ここで勉強方法がひとつ浮かび上がります。そうです。勉強することを全て長期記憶に移行してしまえば忘れることがほとんどないのです。では、どうすれば情報を長期記憶とすることができるのでしょうか。

長期記憶となる情報

まず、脳にとって衝撃を与えるような情報は長期記憶に移行しやすくなっています。涙が出るくらいうれしいことであったり、吐き気がするくらい嫌なことはめったなことでは忘れることはありません。人間、生きていればふと思い出して嫌な気分になる記憶があると思いますが、これは典型的な長期記憶にある情報と言えます。この方法では、勉強方法にあまり応用が利きません。常に脳に衝撃を与えるような勉強方法は存在しないからです。

もうひとつは、何度も繰り返して登場する情報が長期記憶に移行しやすくなっています。例えば、親や友人の名前、住所などは、ほとんど忘れることが無いと思います。それは何度も繰り返し登場して、長期記憶に移行しているからです。そして、これこそが勉強に応用できる方法となります。

勉強に応用する

ここで、上記のエビングハウスの忘却曲線をもう一度見ていただきたいのですが、緑の線が見えると思います。これは、1日置きに復習を行い、その後に忘れるスピードを測った曲線になります。見て分かると思いますが、復習後の忘れるスピードは圧倒的に遅くなっていることがわかります。つまり、記憶に残りやすいのです。3日間連続で復習した後は、もうほとんど忘れない状態になっています。

これは、何度も復習することによって、脳が情報を「何度も登場するし、重要なんだろうな。長期記憶にしとくか」という具合に長期記憶に移行させるからです。この原理を利用して、適切なタイミングで復習を行うことによって、自分の暗記量を劇的に増加させることが可能です。僕はこの方法を使用して、一気に学力を上げることに成功しました。今でも資格試験の際にはこの方法を応用して、効率良く勉強しています。

具体的なタイミング

では、どのようなタイミングで復習すれば効果的なのでしょうか。「毎日」というのが当たり前なのですが、それでは新しい分野に勉強を進めることがほとんどできなくなってしまいます。そこで、僕が行っていたタイミングを紹介します。それは、忘却曲線のタイミングと一緒で、1日後、1週間後、1か月後のタイミングでした。1か月後の次はまた1か月後、その次はまた1ヶ月後といった具合です。そして、もう覚えなくて大丈夫となったら、次の記憶に移行していました。

例えば、1000語の英単語を覚える必要があるとします。すると、下記のタイミングで勉強を行うことになります。

<1日目>
100単語を覚える

<2日目>
1日目の復習テスト。覚えていない単語をピックアップして記憶
本日の100単語を記憶

<3日目>
2日目に覚えていなかった1日目の単語を再テスト。覚えていない単語をピックアップして記憶
2日目の復習テスト。覚えていない単語をピックアップして記憶
本日の100単語を記憶

このような感じで、10日で1000単語をとにかく記憶します。7日目には7日目の記憶に加えて、1日目の単語が1週間を迎えるので、再度100単語のテストを行います。同様に、8日目は8日目の100単語に加えて2日目のテストを行います。これの繰り返しになります。もちろん、この時に覚えていない単語は次の日に回します。

これを行うと勉強する量が膨大なことになるように感じますが、文章で書くと多く見えますが、実際は何度も目を通すことになるので、次の日に回す量は日に日にものすごい勢いで減少していきます。確かに最初は一気に記憶すべき量が膨れ上がるので、最初だけしんどいのですが、10日を経過したあと、つまり1000単語を終えた後はあまりの自分の記憶力に驚くと思います。間違えた単語を次の日にも復習することにより、次々と長期記憶に単語が移行していくのが実感できると思います。

この方法で行けば、英単語の3000単語は1か月と10日くらいでほとんど記憶することが可能です。僕はこの方法で英単語→文法→音読という勉強の経緯をたどり、10か月後には英語の偏差値を60程度まで増加させることが出来ました。

ただ、この方法には弱点があります。それは人間は一度勉強したことを復習するのが大嫌いだということです。それに加えて、一度勉強したことを忘れている現実に直面するのも大嫌いだということです。つまり、復習はものすごくめんどくさく感じるし、阿保得ているかの確認テストも、自分が覚えていない現実を知るのが嫌でやる気にならないということです。

この勉強をすると「どうせ昨日やったし覚えている」「毎日やっても意味ない」「めんどくさい」「他にやるべき勉強があるはず」「机の上を掃除したい」「もっと効率良い方法があるはず」「とにかく新しい単語を覚えた方が良いのでは」と一瞬でものすごい数のやらない言い訳が頭に浮かびます。それはそれは、もう感心するレベルで浮かびます。僕も何度も心が折れそうでした。もちろん、折れてはいけません。合格する人は、折れないように頑張っているのです。

当時の僕は「すでに大幅に遅れている自分が、ここで耐えなければ一生誰にも追いつくことはない」と自分に言い聞かせ、必死こいて勉強しました。そうしたら、適切なタイミングで復習を行うことがどれほど記憶に良い影響を与えるのかを身を持って感じることが出来ました。脳は誰でもほとんど違いはありません。ですが、やればできるというのは少し間違いで、やり続ければできるようになる、というのが正しい姿だと思います。

まとめ

勉強のやり方がそもそもわからない、という人は、この方法で少し勉強してみてはいかがでしょうか。ただ、上記の方法は少し難しめに設定してあります。少し難しいと感じる方は、「間違えた単語を次の日に回す」の箇所を削ってみてください。つまり、ただ単語を当日、翌日、1週間目、1か月目に記憶するという方法です。これだけでもだいぶ記憶することができます。この方法は、色んな勉強に応用が利くと思うので、少しでも取り入れていただければ幸いです。当時の僕のような環境にいる人が、偶然にもこの記事を読んで、勉強によって人生を切り開いてくれたらと思います。