米国公認会計士(USCPA)に合格し、Big4監査法人で働いてます。USCPA情報をメインにリアルな情報を書いていきたいです。

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棚卸資産1

USCPAの勉強。棚卸資産について。

Inventory

今回は、Inventory(棚卸資産)について見ていきたいと思います。Inventoryとは企業が持っている商品の在庫のことです。もう少し詳しく言えば、販売目的で仕入れた商品や、自社で製造した製品のうち、まだ売れていないもののことを言います。自動車のメーカーであれば完成した自動車、ビール会社ならビールなどになります。

Inventoryの問題として、はたして期末日時点でどの程度の在庫があるのかという点があげられます。そしてそれは利益にも直結するので、このあたりは非常に重要な分野になります。どの程度の在庫を持つのかということについては、

  1. どの程度の数量があるのか
  2. 在庫の単価はいくらか

という2点が重要になります。数量に単価を掛けると、全体の在庫の金額を導くことができます。そのため、この2つを導くために色んな方法(つまり問題)が用意されています。USCPAではInventoryの問題が幅広く出題されますが、重箱の隅をつつくような問題はほとんど出題されないので、しっかりと全体を理解していれば大丈夫です。では、さっそく具体的な内容に入っていきます。

Inventoryの範囲

まず、ビジネスプロセスの中で、いつまで自社のInventoryとして取り扱うのかということについて見ていきます。例えば、商品が売れて取引先に発送するという流れがありますが、いつまで自社のInventoryとして取り扱うのかという問題があるのです。相手の手元に届いたときか、それともトラックや船に商品を積んだときかという話です。加えて、商品の販売を販売会社に委託している場合はどうなるのかという論点もあります。

これらの疑問を解決するために、F.O.Bというルールがあります。F.O.B DestinationとF.O.B Shipping pointという2種類があるのですが、最初にF.O.Bとはどのようなものなのかについて簡単に説明していきます。

F.O.Bについて

F.O.BとはFree on boardの頭文字になります。このF.O.BのあとにDestinationかShipping pointが来るかで扱いが変わるのですが、ここで覚えておきたいポイントは「F.O.Bの後に来る方が、料金も責任も負わない」ということです。例えば、F.O.B Destinationの場合は到着地点の側が到着するまで責任も料金も負わない、そしてF.O.B Shipping pointの場合は発送側が発送した時点で責任も料金も負わないということです。これに加えて、自分が発送する側なのが注文(つまり到着地点側)側なのかを考えるだけで大丈夫でした。ここをもう少し詳しく見ていきます。

商品をVendorから購入している場合

こちらが買い手側の話になります。つまり、こちら側がDestination(到着地点)となります。ここで、F.O.Bの条件がDestinationかShipping pointで変化するパターンを見ていきます。

1.F.O.B Destinationで発送中の商品の場合
F.O.B Destinationなので、Destination側が責任も料金も負っていません。つまりこちら側に責任が無いため、こちらの手元に到着するまではInventoryとして計上することはありません。

2.F.O.B Shipping pointで発送中の商品の場合
F.O.B Shipping pointのなので、発送した側はすでに責任も料金も負っていません。つまりこちらに責任があるため、こちらの手元に届いていなくても(発送中でも)、この商品はInventoryとして計上する必要があります。

商品をCustomerに売った場合

今度はこちらが売り手側の話になります。つまり、こちら側がShipping point(発送地点)となります。こちらも、条件がF.O.B DestinationかShipping pointかの違いを見ていきます。

1.F.O.B Destinationで発送中の商品の場合
F.O.B Destinationなので、Destination側が責任も料金も負っていません。到着地点に着くまでは先方側に責任が無いため(こちら側に責任がある)、あちら側に到着するまではその発送中の商品はInventoryとして計上しておく必要があります。

2.F.O.B Shipping pointで発送中の商品の場合
F.O.B Shipping pointのなので、発送した側はすでに責任も料金も負っていません。つまりこちらにはもう責任がないため、先方の手元に届いていなくても(発送中でも)、この商品はInventoryの範囲からは外れることになります。

このように、「F.O.Bのあとに来る単語側が責任も料金も負うことはない」ということと、「自分が購入側か発送側か」という点に注意すれば、Inventoryの範囲の問題は対応できると思います。

Goods on Consignment

次は商品の販売を委託する際の話をします。イメージで言うと、高級ブランドのメーカーが、百貨店に販売を委託するという形になります。委託する側のことをConsignor、委託される側(受託側)をConsigneeと言います。USCPA試験で重要となるのは、自分がConsignorなのかConsigneeなのかということと、その商品が委託されているのか、商品を委託しているのかということになります。

Goods out on consignmentという単語があった場合、それは委託先(Consignee)に商品の販売を委託しているだけなので、自社のInventoryとして含める必要があります。逆に、Goods held on consignmentという単語があった場合は、自分が商品の販売を委託されている(Consignee)商品のことなので、Inventoryに含めてはいけません。

実際の試験では、色んな状況にあるInventoryの説明がずらずらと並んだ後に、「さて、年度末のこの会社のInventoryは合計いくらでしょう」というものがあります。そのずらずら並んだInventoryの中に、F.O.B DestinationやShipping pointの条件で発送中や注文中のもの、Out on consignmentのものやHeld on consignmentのものが色々混じっているのです。それらを含める、含めないを判断していき、最終的にInventoryの合計金額を求めることになります。最初は慣れないかもしれませんが、問題を解き続けると全部覚えることは可能です。ここまでがInventoryの範囲になります。次はInventoryの測定方法について見ていきます。

Inventoryに含める金額

上記でも説明したように、Inventoryには自社で製造したInventoryと、他社から仕入れたInventoryの2種類があります。ここで、Inventoryの金額はどこまで含めるのかということについて軽く触れたいと思います。

・仕入れる際のInventory

Inventoryを仕入れる場合、購入した商品の価格だけでなく、仕入れたときの発送にかかった運賃や、在庫として置いておく費用、商品にかけられた保険料などすべてを含む必要があります。取得までにかかった費用を全て含めてInventoryの金額とします。

注意点は、「仕入れるまで」にかかった費用を全て含めるだけであり、実際に商品として販売するときにかかる費用はInventoryに含めないという点があります。まぎらわしいものとしてはFreight-inという費用は仕入れ時のものなのでInventoryに含めますが、Freight-outという費用は販売したときの発送費なので、Inventoryには含めないでSelling expense(販売費)という別の科目となります。僕は昔、何回かInventoryに含めて計算して苦い思いをしました。

・製造したInventory

こちらはFARではなくBECの分野になるので、簡単に触れる程度にしておきます。製造したInventoryには、Direct material(直接材料費)、Direct labor(直接人件費)、Manufacturing overhead(製造間接費)というものが含まれます。それらの工程を全て終えたものが、Finished goodsとしてInventoryに計上されることになります。

ただ、FARのときにこれらが出題されることはほとんどないと思います。やはりメインは仕入れによるInventoryとなります。では、次はInventoryの測定方法について見ていきたいと思います。

Inventoryの測定方法

Inventoryの測定方法ですが、2つ存在しています。Perpetual inventory system(継続棚卸法)とPeriodic inventory system(棚卸計算法)の2つになります。これらはどちらにも長所と短所があるのですが、USCPAの試験で主に問われるのは後者のPeriodic inventory systemになります。現実社会でもほとんどの会社がPeriodic inventory systemを使用していると思います。ですが、まずは念のためPerpetual inventory systemから見ていきたいと思います。

1.Perpetual inventory system

上記の通り、こちらはあまり出題されません。余談になってしまいますが、僕が留学して会計学を勉強していた時、こちらの方法が初心者用なので先にテキストに出てきました。僕は練習問題などを通して必死こいて勉強してこちらの方法を完璧にしたと思ったら、あとからより重要なPeriodic inventory systemが出てきて、これに対する必死の勉強はあまり意味がなかったという辛い経験があります。

Perpetual inventory systemの特徴は、仕入れた際にInventoryとして計上を行い、その商品が売れた際にInventoryを取り消してCost of goods sold(売上原価、以下COGSと略します)を計上する方法となります。つまり、常にInventoryのゆくえを追いかけている(継続記録している)方法となります。なので、Perpetual inventory system(継続記録法)と呼ばれるのです。

こちらの方法のメリットとしては、常にInventoryを追いかけて記録しているので正確な数字がわかるということと、販売した分と未販売の分が明確に判断できるということになります。その反面、あまりにも作業が膨大になるというデメリットがあります。では、具体的に仕訳で見ていきます。

・InventoryをCashで100ドル分仕入れた
Dr Inventory 100
Cr Cash 100

・上記のInventoryを全て掛けで150ドルで販売した
Dr Accounts Receivable 150
Dr Cost of goods sold 100
Cr Sales 150
Cr Inventory 100

下の方の仕訳を見ていただければわかるのですが、販売した時点でInventoryを減少させて、それに対応するようにCOGSを計上しています。実際の試験でPerpetual inventory systemを問われるときは、Inventoryを購入する際の単価と数量まで詳しく記載されています。

ここまで細かくみれるのであればこちらの方法の方が良いのではと思うかもしれませんが、コンビニやスーパーなど一日に何百個にものぼる製品を何百個も売っている企業では、ひとつひとつの製品を把握することがほぼ不可能です。出来たとしても膨大な作業を必要とすることになります。そのため、こちらの方法はカスタムオーダーの自動車を販売しているような会社などに向いていることになります。

では、普通の会社のようなInventoryを継続して把握できない企業はどうすれば良いのでしょうか。そのためにあるのがもうひとつのPeriodic inventory system(棚卸計算法)になります。

2.Periodic inventory system

こちらの方法は、商品を仕入れたときにInventoryを計上せずに、Purchase(仕入)という勘定を使用します。さらに、商品が売れたときもInventoryは使わずに、期末に一括してCOGSを計算することになります。どのように期末のInventoryの金額を測定するのかというと、期末に実地棚卸を行い、期末日時点のInventoryの金額を測定するのです。そして、下記の計算式に当てはめてCOGSを導き出します。

Beginning inventory + Purchase – Ending inventory = COGS

この式は非常に重要です。日本語で記載すると

期首棚卸資産+仕入ー期末棚卸資産=売上原価

となります。これを具体的に仕訳でみていきます。期首に在庫は全く持っていない状態と仮定します。

・商品を500ドル分現金で仕入れた
Dr Purchase 500
Cr Cash 500

・商品を600ドル分掛けで販売した
Dr Accounts Receivable 600
Cr Sales 600

この状態で期末日を迎えたとします。どの程度の商品が残っているのかを実地棚卸した結果、在庫は200ドル分残っていることが判明したとします。これを計算式に当てはめますと

B:0
P:500
E:△200
C:300

となります。このアルファベットはBeginning、Purchase、Ending、COGSの頭文字となっています。このことから、COGS、つまり売上原価は300ドルということがわかります。そして、Ending inventory の200が次の期のBeginning inventoryとなります。このように、毎期末に大雑把にCOGSと期末におけるinventoryの金額を計算するのがPeriodic inventory systemになります。

少し長くなったので、棚卸資産についてはこちらで一旦切ろうと思います。

棚卸資産その2へ続く

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