USCPAの勉強。今回はFARのCurrent Liability(流動負債)について。流動負債は貸借対照表の負債の部になります。USCPA試験では様々な勘定科目が該当しますので、そのうち代表的なものについてみていきます。

Current Liability(流動負債)とは

Current Liability、つまり流動負債とは「短期間、一般的には1年以内に財やサービスを提供しなければならない義務」です。でも、こう書くとわかりにくいので、簡単に「1年以内にお金が出ていくもの、またはサービス提供しないといけないもの」と覚えておくとイメージしやすいと思います。代表的な流動負債は以下のようなものがあります。

代表的な流動負債

  • 買掛金
  • 短期借入金
  • 未払給与
  • 未払利息

それぞれの科目について、説明していきます。

買掛金(Accounts payable)

買掛金とは、商品を仕入れた際に発生する債務のことです。通常は買掛金に対する支払期限は1~2か月程度なので、流動負債に分類されることになります。もう少し実務に関係した説明をすると、会社Aから商品を仕入れたとして、その会社Aにその場で現金を支払うことはあまりありません。その場では支払わずに、後日に会社Aからの請求書が送られてくることが大半です。そしてその請求書に「翌月末までに代金を以下の口座までお支払いください」と記載されているのです。この請求書が来た時点で、商品を仕入れた立場としては翌月末期限の買掛金が発生することになります。仕訳は以下のようになります。

買掛金の計上仕訳

Dr:商品

 Cr:買掛金(Accounts payable)

そして、代金の支払期限が来る前に現金で支払い処理を行った場合、以下の仕訳をきることになります。

買掛金を支払う場合

Dr:Accounts payable

 Cr:Cash

以上が買掛金の概要になります。余談になりますが、上記の例でいくと、会社Aから見ると商品を掛けで販売していることになりますので、売掛金を計上することになります。

次は短期借入金になります。

短期借入金(Short-term Debt)

短期借入金(Short-term Debt)は、その名の通り短期の借入金なのでイメージしやすいと思います。1年以内に返済が必要な借金ですね。例えば会社AがB銀行から6か月の返済期限で100万円を借り入れた場合、短期借入金として計上することになります。

借入金の計上仕訳

Dr:Cash

 Cr:Short-term Debt

ただ、USCPA試験で短期借入金が重要になってくるのは一般的な仕訳というより、短期借入金の借り換えの場合が多いです。どういうことかというと、1年以内に返済期限が到来する短期借入金がある場合、財務諸表を公表する前に長期借入金(1年以上の返済期限の借金)へ借り換えを行った場合は「長期借入金」として、つまり流動負債ではなく固定負債として財務諸表に計上することになります。

もう少し具体的に書くと、20X1年6月30日が返済期限の借入金が100万円あるとします。20X0年11月1日時点で、借り換えの意思を持って別途20X4年が返済期限の150万円の借入を実施し、20X1年2月1日に150万円が入金されました。20X1年3月31日に20X0年12月31日の財務諸表を発行する時、当初の6月30日が返済期限だった借入金は短期借入金ではなく、長期借入金の項目として取り扱うことが可能になります。

この短期借入金を借り換えによって長期借入金と区分するためには、以下の2つの条件を満たす必要があります。

  • 借り換えの意思があること
  • 借り換えを行う能力があること

借り換えを行う能力があることとは、B/Sの日程からB/Sの発行時(上記の例でいうと20X0年12月31日から20X1年3月31日)までに長期の借入を行っていることと、B/Sの日程で借り換え契約に違反がないことがあげられます。そのため、部分的に契約を満たしていない場合は、その部分に該当する箇所のみ短期借入金としてB/Sに表示する必要があります。

次は未払給与についてみていきます。

未払給与(Salaries payable)

未払給与(Salaries payable)とは、その名の通りまだ支払われていない従業員への給与のことになります。未払い給与は従業員への給料の支払いが次の会計期間になる場合に計上する負債になります。従業員の給与というものは、その働いた月の翌月に支払われることが基本です。例えば7月分の働いた給与は8月に支払われるという感じですね。そのため、会計期間をまたぐ場合はこの部分を未払給与としてB/Sへ計上しなければなりません。

例えば、20X0年12月31日時点でB/Sを作成する場合、翌月の20X1年1月に支払う給与は未払給与とします。仕訳は以下となります。

未払給与の計上仕訳

Dr:Salaries expense

 Cr:Salaries payable

このあと、実際に現金で給与を支払う段階になるとDrにSalaries payable、CrにCashとなるわけです。

次は未払利息についてみていきます。

未払利息(Interest payable)

未払利息とは、その名の通りまだ支払われていない利息のことです。例えば社債を発行しており、その利息が1月1日にある場合、12月31日時点でB/Sを作成すると、翌日に利息の支払いが必要になります。会計上はこの利息払いをB/S計上時点でしっかりと補足しておかなければなりません。

例)2021年1月2日に額面100万、償還期日2030年末の社債を100万円で発行した。社債の利息は年3%、利息の支払いは毎年の7月及び1月1日の年2回とする。会計年度は1月1日~12月31日とする。

この場合、最初の2021年7月1日時点ではDrにInterest expense、CrにCashでそのまま計上することができますが、問題は12月31日の決算時となります。この時点で翌日の利払いを補足する必要があるため、まだ利息への支払いは先にも関わらず、この時点で未払利息を計上することになります。

未払利息の計上仕訳

Dr:Interest expense

 Cr:Interest Payable

そして翌日の1月1日になると、実際の利払い日が到来するので、DrにInterest Payableを、CrにCashを計上することになります。

以上が、流動負債とその代表的な勘定科目になります。