ある日、メルカリでUSCPAの教材が売られているという話を聞いた僕は、少し興味があってメルカリで検索してみることにしました。そしたら、思っていたよりもUSCPAの教材が出てくるわ出てくるわ。「合理的な合格者が、不要になった教材を売って少しでも稼いでいるのかな」と思い出品者による説明を見ていると、大多数の出品者が以下のような文言で出品していました。

  • 不要になったので売ります
  • 最初の方に書き込みがありますが、ほぼ新品です
  • Volume1にのみ書き込みあり
  • FARだけ使用感あります

いや、挫折して売却してるやん・・・。僕はショックを受けました。そうです。メルカリに出品してる人の大半は、USCPAの勉強に挫折してしまい、教材を売ることにより少しでも投資額を回収しようとしているのです。せっかく人生を変えようとUSCPAを目標にし、何十万円も投資したのに、挫折してしまう人が多くいるという現実に僕は悲しくなりました。冷静に考えると、僕の周囲のUSCPA合格者たちは、テキストを大事に保管している人が大半です。そこで、以下の疑問がわいてきました。

  • どうして僕は挫折しなかったのだろうか
  • なぜ出品者は挫折してしまったのだろうか

そこで、疑問を解決すべく、FARの教材で一番安いアビタスの教材を中古で購入してみることにしました。中古でのやり取りが嫌いな人、本当にごめんなさい。どうしてもその人が挫折した理由を少しでも知りたかったのと、僕が使用したプロアクティブの教材との違いが知りたかったという理由で購入してしまいました。

手元に届いた挫折してしまった人の教材を読みこんでいくと、もしかしたらこういう理由で勉強に挫折したのではないかという仮説が僕の中に生まれました。今回は、その仮説をもとに、USCPAの勉強で挫折しない方法について書いていきたいと思います。

なぜ挫折したのか

挫折した人の教材を読んでみると、テキストの最初の方はしっかりと下線・マーカーが引かれ、不明な単語に対するメモがかなり書き込まれています。しっかりと理解しながらテキストを進めようという気持ちがヒシヒシと伝わってくるものになっています。これは推測になりますが、きっと講義もしっかりと最初から最後まで視聴し、わからない箇所は一旦停止して巻き戻し、聞き漏らしの無いように進めてきたのだと思います。一見すると、非常に丁寧な勉強の進め方に見えますね。しかしながら、僕個人の意見としてはこの進め方では挫折する可能性がめちゃくちゃ高いです。

「え?普通に理解しながら進めるのって当たり前ですよね?」

こういう風に思われる方もいるかもしれません。僕も、普通に読書するとか、受験勉強であればこの勉強法でも構わないと思います。ところが、USCPAの勉強に関していうと、この勉強方法を取ると(特に初心者は)挫折する可能性が高くなると考えています。なぜでしょうか。

ハッキリ言います。USCPAの勉強は一見するとわかりにくいし、つまらないです。これは特に、初めて会計に触れる人にとって顕著です。僕も初めて会計の本を読んだときは、専門用語だらけで、単語レベルで何を言っているのかわからず、いちいちその言葉の意味を調べるところからのスタートでした。さらに、少し前に勉強した内容を振り返ってみると全然覚えていないのです。これでは挫折するなという方が難しいでしょう。

これをもう少し分析してみると、以下のループが存在することがわかります。

  1. 何を言っているかわからない
  2. わからないのでつまらない
  3. つまらないということは、自分に向いてない

そして、挫折へと一直線に突き進むわけです。わからない、つまらない、自分に向いてないという連鎖ですね。この連鎖を正攻法で断ち切るには相当な気力が必要になります。ただ、USCPA合格へ突き進むにはこの連鎖をどうにかぶち破る必要があるわけです。では、どうすれば良いのでしょうか。

USCPA試験の特徴

挫折しない勉強法に入る前に、USCPA試験の特徴をきちんと把握しておく必要があります。「どうでも良いから早く方法を教えろ」という人がいるかもしれませんが、ここは大事な話になるので先に書かせてください。僕が考えるUSCPA試験の特徴は「出題範囲が明確に決まっている」ということ、そして「科目合格制度が使える」ということです。

USCPA試験の特徴

  • 出題範囲が明確に決まっている
  • 科目合格制度が使える

特に重要なのが、1つ目の「出題範囲が明確に決まっている」という点です。これは資格試験なので当然ではあるのですが、受験勉強や留学試験と比べると、やるべきことが明確に決まっており、その出題範囲についてのみ勉強をすれば良いものとなっています。そして科目合格制度が利用できることにより、1度に勉強する科目は1つに絞り込むことが出来ます。つまり、学習範囲を絞って集中して勉強できるわけです。この特徴を踏まえて、USCPA試験を挫折せずに進められる勉強法について書いていきます。

USCPAを挫折しない勉強方法

ではここから、USCPA試験を挫折せずに勉強する方法について書いていきます。いきなり過激なことを書きますが、まずは理解することをあきらめてください。もう少し真面目な言い方をすると、無理に最初から内容を理解する必要はありません、ということです。

これを踏まえたうえで、予備校の講義を1.5倍速、もしくは2倍速で最初から最後まで一気に視聴するのです。もう一度言いますが、内容について理解する必要はないですし、「絶対に覚えなくては」と身構える必要もありません。何よりも大事なことは、とにかく最初から最後まで勢いよく、素早く全て視聴することです。

では、仮にFARの講義を最初から最後まで視聴したとして、終わった時点での全体の理解度はどれくらいでしょうか。僕の経験から言わせてもらうと、10%もありません。でも、それで良いのです。むしろ、10%も覚えていないのは当然、想定通り、計画の一部と思える心構えが重要です。この時点で大事なことは、とにかく1科目について最初から最後まで視聴し終えたという事実です。この時点で、おぼろげながら視聴した科目の出題範囲の全体像を知ることが出来ます。「講義を全部見るとこれくらいなのね」という感覚レベルで構いません。

では、一度全部見た後はどうすれば良いでしょうか。答えは簡単です。もう一度最初から最後まで1.5~2倍で視聴するのです。やってみるとわかると思いますが、2回目なのに初めて見る動画みたいで、自分の脳みその記憶力の低さに感動しますよ。ただ、繰り返しになりますがそれで構いません。この時も絶対に理解するんだ、とか覚えるんだ、と身構える必要はありません。2回目も、とにかく一気に視聴を終わらせることだけを考えます。持つべき心構えは「わからなくて当然」です。2回目を終えた時点で、講義を最初から最後まで2回見終わったという事実が残ります。自信がつきそうなところですが、全体の理解度は20%にも満たないというのが現実だと思います。

続いて、3回目の視聴に入ります。もちろん1.5~2倍で視聴します。今回から、1つの講義が終わるたびに、その講義の範囲に対応する問題集を解いてみます。問題集を解く際に大事なのは「問題がわからない、間違えるは当たり前」ということを認識することです。普通、講義を3回も見ているなら問題はある程度解けるのでは?と思われるかもしれませんが、ビックリするくらい何を聞かれているかわかりません。でもそれで良いのです。とにかく間違いでも良いので「講義視聴→問題集の該当する範囲を回答」の流れを突き進めます。きっと、わかる問題が30%も無いことに気が付くと思います。少なくとも僕はそのくらいでした。

この辺りが、一番きついと思います。勉強しているのに問題がわからない。正解することが出来ない。気にしなくて良いとわかっていても悔しいものは悔しい。僕も何度か発狂しそうになりました。でも、今だから言えますが、この時点では本当に気にする必要はありません。必要なのは、ただ講義→問題集の流れを一通り終わらせることだからです。この時点での「理解」と「正答率」は全く将来と関係ありません。考えるだけ、悩むだけ時間の無駄です

同じように、4回目の講義視聴と問題集のセットを開始します。この辺りから、少しずつ理解が始まると思います。「先生、またこの動きしてるよ」とか「またこの話してるよ」といった具合です。脳みそが講義の内容について「何度も目に映るということは、重要な情報なのか」と判断し始めます。そして、問題集を解いていることにより、出題範囲における論点はどのようなものなのかを把握してから講義に挑めることになります。この辺りから、ようやく「理解」が射程範囲に入ることになります。むしろ、この段階に進めるまで頑張って理解しようとしても、土台が無いのでめちゃくちゃ非効率なのです。

そして、5回、6回と繰り返すことにより、勉強のサイクルをどんどん早く回せていくことに気が付くと思います。自分がわかっている範囲とわかっていない範囲が判別できるようになり、学習効率が飛躍的に伸びることになります。理解している範囲に関しては、講義を見ないで問題集だけを解いても良いかもしれません。

最終的に、その科目の出題範囲について、全体及び各論点について把握している状態になることが出来ます。ここまでくれば、後は試験を受けて合格するだけです。この流れを科目合格制度を利用して、1科目ずつ合格を積み上げるのです。

挫折しないポイント

このように、USCPAの勉強で挫折しないためにもっとも重要なのは「理解できない自分が嫌」という感情を切り離すことです。理解できないということは当たり前なのです。それを踏まえて、とにかく講義の視聴と問題集の回答を何度も繰り返し、わからないけどここまでやったという事実を積み重ねることが重要となります。それに伴い、少しずつ内容が理解できるようになります。

つまり、逆説的ですが、まずは理解を捨てるのです。安心してください。事実を積み重ねることによって、理解は後から必ずついてきます。

以上で、挫折しない勉強方法を終わります。少しでもUSCPAに挫折してしまう人が減少すれば幸いです。