米国公認会計士(USCPA)に合格し、Big4監査法人で働いてます。USCPA情報をメインにリアルな情報を書いていきたいです。

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固定資産1

USCPAの勉強。固定資産についてその1。

Fixed Asset

今回からは、Fixed Asset(固定資産)について見ていきたいと思います。Fixed Assetとは、基本的には企業がそのAssetを活用することによって、収益をあげることを目的として、長期間にわたり所有し続ける資産のことになります。他にもProperty,Plant and Equipmentや、Non-current Assetなどとも呼ばれることがありますが、ここでは基本的にFixed Assetと呼んでおきます。

Fixed Assetというと抽象的ですが、具体的な名称をあげるとわかりやすいと思います。例としてはMachine(機械)、Equipment(備品)、Land(土地)、Building(建物)などがあげられます。

Fixed AssetとInventoryの違い

実は、同じ対象物でも会社によってFixed Assetにする場合もあれば、別の会社はInventoryとする場合があります。例えば、その対象物が荷物を運ぶトラックだった場合、運送会社はそのトラックをFixed Assetとして計上しますが、そのトラックを販売する会社はInventoryとして計上します。その会社が、そのAssetをどのように捉えるかによって計上する先が変化するのです。

佐川急便やヤマト宅急便にとってはトラックはFixed Assetになりますが、いすゞ自動車や日野自動車にとってはトラックはInventoryとなります。ただ、いすゞ自動車や日野自動車が、商品を運ぶトラックを自社で所有している場合、そのトラックはFixed Assetとなります。さらに言うと、不動産販売会社にとっては販売するマンションもInventoryとなります。

減価償却資産・非減価償却資産

Fixed Assetには、減価償却資産と非減価償却資産という種類があります。

・減価償却資産
減価償却資産とは、Depreciation(減価償却)を行う必要があるFixed Assetのことになります。Depreciationについてはメイントピックなので、後ほど説明します。減価償却資産の例としてはMachine、Building、Equipmentなど、時間の経過や使用するとともにボロボロになり価値が減少していくものになります。

・非減価償却資産
非減価償却資産とは、上記のようなDepreciationを行う必要がないFixed Assetのことになります。代表的な例としては(というかそれ以外聞いたことがない)、Landがあげられます。土地は時間の経過とともにボロボロになっていくというものではなく、いくら使用しても、ただそこにずっとあるものだからです。

Acquisition cost(取得原価)について

Fixed Assetを購入する場合、様々な諸経費がかかることになります。仮にMachineを購入するとなった場合、実際の世界では「機械欲しい。買います」「あいよ」で終わりではありません。そのMachineの代金に加え、テスト稼働の料金や、保険にかかる代金なども存在します。実はFixed Assetを購入する場合、「使用開始寸前」までかかった全ての付随費用を含めた料金をFixed Assetとして計上することになります。

例えば、A社がMachineを購入する際、そのMachineが130,000ドルとして、その他にも郵送代2,000ドル、Machineを備え付けるのにかかる費用3,000ドル、Machineのテストにかかる費用4,000ドルがかかったとすると、A社のB/Sに記載されるMachineの金額は全てを含めた139,000ドルということになります。

このように、基本的には使用までにかかる全ての費用をFixed Assetとして含めると考えていれば大丈夫なのですが、1点だけ注意する必要があります。それが、借り入れてFixed Assetを作成した場合のInterest(利息)に対する取扱いになります。

Capitalization of interest(資産とする利息)

基本的にFixed Assetは高額なものが基本なので、企業が取得もしくは製造する際には、銀行からの借り入れや株式の発行などを通じて巨額の資金を調達して、そのお金を使用して行うことが多くなっています。

ニュースなどで「○○社がメキシコに新規に工場を設立。資金は○億円を銀行より借入で賄う予定」といった報道がありますが、この流れが今回説明するCapitalization of interestの争点になります。この場合、銀行は貸出がビジネスなので、この設備投資する会社から当然金利をもらう形になります。○○社は銀行に金利を支払う立場になるわけです。

通常の借入であれば、この支払う利息はInterest expenseとしてその期に費用計上する必要がありますが、例外的に「Fixed Assetの取得に関して借り入れを行った金額に対する利息」に対しては、ある一定額まではそのAssetとして資産計上、つまりCapitalization of interestを行うことができます。その期に利息費用とするわけではなく、資産に対するDepreciation Expenseで各期にわたって費用計上していくということです。では、Capitalization of interestが可能となるFixed Assetの取得とはどのようなものになるのか見てみます。

・自社使用を目的とした資産
こちらの例としては自社ビルの建設などがあげられます。この自社ビルの建設のために借り入れた金額にかかる利息などは、建設期間中に限り一定の金額を資産計上することができます。

・販売目的で作成する資産で、プロジェクトとして明確な区別が可能なもの
こちらの例としては、僕がUSCPAの問題で確認できたのは「船舶の製造」に関する問題でした。船の製造のために借り入れた金額にかかる利息をある一定の金額、資産として計上することができます。

Capitalization of interestの限度額

先ほどから「ある一定の金額」という書き方をしていますが、ではどの金額まで利息金額を資産として計上することが出来るのでしょうか。その限度額を決定する際に必要となるのが、Avoidable interestという考え方になります。

Avoidable interestとは「Fixed Assetの製造・建設が無ければ、それに対する借入が発生せず、従って支払う必要が無かったであろう利息」の金額ということになります。つまり、「わざわざその固定資産を作らなければ、借り入れる必要もなかったしその借り入れに対する利息もなかったよね」の利息金額ということです。ではそのAvoidable interestはどのように求めるのでしょうか。

Avoidable interestの求め方

計算式ですが、Weighted average accumulated expenditure(平均累積支出金額)にInterest rate、そして製造・建設期間をかけます。その計算結果が、Avoidable interestとなります。

そして、Avoidable interestを求めた後は、実際に支払う利息、つまりActual interestを計算します。借り入れた金額に借り入れた際の利率、そして借入期間をかけて算出します。

そうして算出されたActual interestと、上記Avoidable interestを比較して、Capitalization of interestの金額を導きます。これらActual interestとAvoidable interestの少ない方の金額が、Capitalization of interest、つまり資産計上できる利息の金額となります。

注意点としてはCapitalization of interestが可能なのは「実際に建設(または製造)している期間の利息のみ資産計上可能」だということです。Fixed Assetが完成した後にも利息を支払っていれば、それは全額Interest expenseとして費用計上しなければなりません。

実際の試験では詳しい計算をさせるような問題は少なく、これらのプロジェクトにこれくらいの利息がかかりました。建設にかかった金額、建設中に支払った利息、建設後に支払った利息などが列挙されていて、最終的にこのFixed Assetの金額はいくらですかというレベルのものが多いです。何がFixed Assetの金額に含められるのかという問いに、建設後の利息を含めないなどといった簡単な論点が含まれているという形で出題されることがあるのです。

これにてCapitalization of interestを終わります。ここからは、Capital expenditure (資本的支出)とRevenue expenditure (収益的支出)について見ていきます。

Fixed Asset取得後の支出

Fixed Assetは、取得した後にも長期的に使用することが前提となっています。そのため、時間の経過とともにそのFixed Assetに対してメンテナンスや修繕、そして改良を行うということがあります。その際に支払う支出に関して、取り扱いが異なるということについて見ていきます。

例えば個人が車を購入した場合を考えればイメージがつきやすいと思います。個人が車を購入した後、ずっとそのまま乗り続けられるわけではありません。時期が来ればオイルの交換も必要になりますし、タイヤを交換する必要があります。人によっては性能を上げるために高性能の部品を追加で取り付けるかもしれません。

これらの支出は、その性質に応じてCapital expenditureとRevenue expenditureに分類され、さらに会計処理も別なものになります。簡単な覚え方でいくと、Capital expenditureはそのFixed Assetの性能をアップしたり、耐用年数を伸ばすものになります。対してRevenue expenditureとは、そのFixed Assetの維持のために行われる支出になります。以下、それぞれの支出について詳しく見ていきます。

Capital expenditureについて

Capital expenditureとは、その支出がFixed Assetの性能を向上させたり、耐用年数を伸ばしたりするものを指します。

先ほどの車を例にとると、エンジンを最新のものに積み替えたことにより最高速度が30キロ上がったということや、タイヤを交換したことにより車の寿命が10年伸びたという場合は、こちらの支出になります(あくまで例です)。こういった支出の場合はCapital expenditureに分類され、その支出額は費用ではなく資産として計上されます。

仕訳例を見てみます。仮にEquipmentを改良することによって能力を向上させた現金での支出を考えてみます。

Dr Equipment
Cr Cash

このように、資産を増加させる仕訳をきることになります。こちらがCapital expenditureとなります。では、Revenue expenditureについて見ていきます。

Revenue expenditureについて

Fixed Assetに対して、その活動を維持するためだけに支出するようなものをRevenue expenditureといい、そのまま費用計上します。

先ほどの車を例にとると、オイル交換でそのままの走りを維持するいう場合や、定期点検で軽くメンテナンスを行うという場合の支出がこちらにあたります。こちらを仕訳にしてみると、以下のようになります。現金で車のメンテナンスを行ったとすると

Dr Expense
Cr Cash

このように、そのまま費用として計上します。一旦Fixed Assetに計上するといったことは行いません。

まとめとしては、性能や耐用年数を向上させるものはCapital expenditureで資産計上、メンテナンスや能力の維持のための支出はRevenue expenditureで費用計上と覚えれば大丈夫です。実際の試験では、Capital expenditureの部分はやけに金額が大きかったり、耐用年数が伸びると明言されていたりするので、非常に判別しやすくなっています。

少し長くなったので一旦ここで切りたいと思います。次回は減価償却についてみていきます。

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