USCPA新試験の概要

2017年に導入されたUSCPA新試験の概要について、その概要や試験科目について、試験構成やスコアについて全体的に見ていきたいと思います。また、USCPA新試験についての僕の考察についても最後に書いていきます。まず、新しく導入予定の新試験については、AICPAの以下のファイルが英語ですがわかりやすくまとまっていると思います。

参考:How is the Uniform CPA Examination Scored?

とは言っても、読むのは面倒ですよね。そこで、僕が頑張って読んで、日本語に訳してみました。以下にはその内容を記載しています。ただ、細かく翻訳したというよりは、とりあえず訳したレベルなため、間違いがあるかもしれません。より正確な情報を知りたい方は上記リンクをご確認ください。

試験科目

USCPA新試験の科目は従来と変わらず4科目となっています。

  • Auditing and Attestation (AUD)
  • Business Environment and Concepts (BEC)
  • Financial Accounting and Reporting (FAR)
  • Regulation (REG)

全ての科目が選択問題であるmultiple-choice questions (MCQ) 及びシミュレーション問題であるtaskbased simulations (TBS)で構成されています。BECに関しては記述問題も構成に含まれています。

試験の構成

USCPA試験は複数の「テストレット」と呼ばれる問題群で構成されています。簡単にいうと問題の集まりです。テストレットにはoperational questions及びpretest questionsという2種類の問題が含まれています。

  • Operational questions:実際に採点される問題
  • Pretest questions:実際には採点されない問題

これら2種類の問題は一見して見分けがつかなくなっています。一定の条件を満たしたPretest questionsは将来的にOperational questionsへと移行する可能性があります。要するに実験問題というやつですね。僕の推測になるのですが、採点しない問題として出題することにより、その問題の正答率を蓄積し、ここで問題の難易度や有効性を計測して、テストレットの難易度が高い方か低い方のどちらに組み込むか(後述します)、または根本的に問題として使用できるか否か等を考慮するのでしょう。

テストレットについて

選択問題のテストレットは「普通」及び「難しい」の2種類が存在します。テストレット「難しい」にはテストレット「普通」に比べて標準より難しい問題が多く含まれることになります。余談ですが、僕はこの難易度の変化を全く感じることが出来ませんでした(参考記事:テストレットの難易度変化)。全受験者は最初「普通」の難易度のテストレットからスタートすることになります。この最初のテストレットの出来次第で、次のテストレットの難易度が決定します。ただし、選択問題のテストレットの出来次第で、そのあとのシミュレーション問題の難易度に影響することは一切ありません。シミュレーション問題は試験開始時にすでに決定されています。シミュレーション問題のテストレットは受験者の知識の応用力を試すものとなっています。スプレッドシートやリサーチ問題などが典型的なものとしてあげられます。BECには、記述問題のテストレットも含まれております。

各科目の試験内容の内訳

それでは各科目の試験がどのような構成になっているかみていきます。

Auditing and Attestation (AUD)

  • テストレット1:選択問題36問
  • テストレット2:選択問題36問
  • テストレット3:シミュレーション問題2問
  • テストレット4:シミュレーション問題3問
  • テストレット5:シミュレーション問題3問

試験時間は4時間となっています。配点は選択問題50%、シミュレーション問題50%となっています。

Business Environment and Concepts (BEC)

  • テストレット1:選択問題31問
  • テストレット2:選択問題31問
  • テストレット3:シミュレーション問題2問
  • テストレット4:シミュレーション問題2問
  • テストレット5:記述問題3問

試験時間は4時間となっています。配点は選択問題50%、シミュレーション問題35%、記述問題15%となっています。

Financial Accounting and Reporting (FAR)

  • テストレット1:選択問題33問
  • テストレット2:選択問題33問
  • テストレット3:シミュレーション問題2問
  • テストレット4:シミュレーション問題3問
  • テストレット5:シミュレーション問題3問

試験時間は4時間となっています。配点は選択問題50%、シミュレーション問題50%となっています。

Regulation (REG)

  • テストレット1:選択問題38問
  • テストレット2:選択問題38問
  • テストレット3:シミュレーション問題2問
  • テストレット4:シミュレーション問題3問
  • テストレット5:シミュレーション問題3問

試験時間は4時間となっています。配点は選択問題50%、シミュレーション問題50%となっています。

感想としては、以前のUSCPA試験に比べると、全ての科目において選択問題のテストレットが2つとなっているため、非常に慎重に最初のテストレットで得点を積み上げ、次のテストレットの選択問題の難易度を「難しい」にしておく必要がありそうです。2つ目のテストレットの難易度が「普通」だった場合、選択問題における配点は高くないものになり、シミュレーション問題で追い上げる必要がでてきます。

試験のスコア

試験は0から99までの範囲で採点されることになります。各科目とも、スコアの75以上であれば合格となります。この75というのは正答率、つまりパーセントではありません。「より難しい問題に、より高い点数がつく」という方式により計算されるシステムによって採点が行われます。そのため、100問解いてそのうち76問正解しても合格とは限らないということになります。

考察

USCPAの新試験は、僕が受験した試験よりもシミュレーション問題に重点が置かれています(僕のときは選択問題が60%程度の配点でした)。ただし、仮に従来の試験方式と出題傾向が大きく変わらないのであれば、準備するべきことは現状と変わらず「選択問題を確実に得点できるようにする」ことではないでしょうか。僕がUSCPAを受験した際も、選択問題とシミュレーション問題がありましたが、シミュレーション問題は、よく見ると選択問題を単純に組み合わせた問題であったり、選択問題の解答欄を自分で直接埋める問題であったりと、選択による運の要素で正解しないように工夫されたものが多い印象でした。つまり、シミュレーション問題と言っても選択問題を回答できれば正解を導ける問題が大半でした。

ただし、新試験のBECに関しては、僕のときはシミュレーション問題が無かったため、僕から伝えられることは残念ながらあまりありません。予想としては、他の3科目と同様に科目のコンセプトを理解して、ひたすらに選択問題を通じて理解を深めることが合格につながると思います。ひとつ言えることは、このサイトでも何回か書いていますが、BECの特色である「記述問題」を捨てるのはやめておきましょう。15%しかないと思うかもしれませんが、どの問題に高い配点がされるのかが非公開の時点で、全ての問題に全力で挑むことが合格への近道であることは明らかです。

以上で、USCPAの新試験の概要を終わります。