歴史から学ばない監査法人(採用編)

以前から記事でちょこちょこと書かせてもらっていますが、監査法人が僕が在籍していた期間の中では過去最高レベルに採用を過熱させています。確実にこれまで採用して来なかった層にまで採用の門戸を開いているのです。

端的に表現すると一緒に仕事するのはちょっと、、、みたいな人も入ってきていますし、資格なしや勉強中という人も経験のあるなし関係なく入ってきています。そして以前に記載したような普通の大学卒業の新卒採用(もちろん資格なし)まで始める始末です。もうやりたい放題ですね。

何を隠そう私は監査法人が大好きなので、この状況を真剣に憂いております。残念無念。なので法人内部での会議でも隙あらば採用の過熱っぷりについて「さすがにやりすぎじゃないですかね。現場は人材マネジメントで疲労困憊してますよ」と伝えるようにしています。なんて監査法人想いなんだ。

ただ、採用している側からの回答は「採用マーケットが枯渇していて、これまでの条件では人は採用できない」というものでした。アホすぎて失笑をこらえるのに全力を出したことを素直に告白します。枯渇しているのならば無理に採用しなければ良いのです。

本当、過去から学ばない人間が多すぎる

皆さんは監査法人のリクルートに関する歴史をご存じでしょうか。実は監査法人は以下のようなサイクルを繰り返しているのです。

監査法人アホサイクル

  1. 景気が良くなる
  2. 採用拡大
  3. 景気が悪くなる
  4. 採用搾り(場合によっては大量解雇)

ずっとこれなのです。リーマンショックの後とかは監査法人が一斉に大量の人員整理をしたのです。20年も経過していませんが、その時より採用の幅を広げているような気もします。

監査法人は提供できるのが知的サービスのみであるため、人材がすべてです。そしてその人材は、もれなく皆さん高給取りです。そこにこれまでは採用しなかった層をがっつり入れると、その層ももれなく高給取りになります。問題は少しでも不景気に世の中が動いた場合です。人員を増やせば増やすほど不景気になったときに余った人員が、とてつもなく収益を悪化させるので、なんとか整理しなければならないのです。

そして人員整理を実施しつつ採用を絞っているときは「日本の会計士がほぼマスト。USCPAの場合は経験があれば運が良ければ入れる」みたいに条件を厳しくしているのです。つまり、法人内での人員構成がいびつなことになるのです。もう一度言いますが、アホすぎます。

そして今、公認会計士/USCPAの資格がない人や、さらには仕事の経験も無い人まで採用をしています。その教育を任されるのは現場にいる人たちです。クライアントの期待に応える業務をしながら、全然知見の無い新人を育成するのはちょっといくら何でも無理ゲーすぎやしませんかねぇ。しかも監査法人は離職率も高いので、育成しても公認会計士やUSCPAの勉強についていけなかった人は普通のコンサルに転職したりするので、実質給料がもらえる職業訓練学校みたいになっていますからね。

無理に拡大するのではなく、着実に一定以上のスキルを持っている人を好条件で採用するのが一番だと思いますが、実際にやってみると無理な話なのでしょうか。ちょっと過去を振り返ってみると「あれ?過去のときより採用過熱してるなこれ」って気がつけると思うのですが。他の法人がもっと採用している?知らんがな、とはなれないのでしょうか。監査法人が大好きな”他の法人との差別化(笑)”出来ると思います。

※ということで以前にも書きましたが、かなり採用の門戸は開いているので、USCPAの科目合格者や企業の経理、内部監査経験者などで監査法人に興味がある人は、ぜひ受けてみてください。「合格してから」「実務経験は3年つんでから」とか言っていると、突然不景気になって監査法人が採用を絞り始める可能性があります。落ちてもまた合格後や実務経験を積み上げた後にもう一度門戸を叩けば良いだけなので、ほぼノーリスクです。