【書評】会計の世界史

今回読んだ本は、田中靖浩さんの「会計の世界史 イタリア、イギリス、アメリカ-500年の物語」です。会計の業界で働いているのに今更!?と思われる方もいらっしゃる方もおられるかもしれませんが、はいすいません、今更です。

あまりよくないとはわかっているんですが、僕は流行しているものはあえて手に取らないということがたまにあります。この本も数年前に本屋で大々的に宣伝されていたのですが、そのダメなところがでてしまい、結局手に取ることはなくスルーしてしまいました。まぁ分厚い本なので、読むのに時間がかかりそうで敬遠したということもあるのですが。

ちなみに実際に手に取ってわかったのですが、この本は見た目ほど読み切るのが苦ではありません。それは内容がスラスラと読みやすいものになっていることもあることに加え、なぜか本の25%ほどが注釈などをいれるスペース、つまり空白になっており、1ページ全体に文字が記載されているわけではないからです。注釈が全くないページにも謎のスペースが普通にあるので、割と歪な構成の本に仕上がっています。この辺りはご自身の目で確かめていただければと思います。最近の本はこういう作り方をするものなのでしょうか。本棚のスペースを余分にとるので無駄に分厚くするのはぜひやめていただきたですね。

さて内容の方ですが、中世イタリアにおける簿記の誕生から、財務会計、管理会計、そしてファイナンスと、会計に関する数百年にわたる歴史を一気に知ることができます。また、特に難解な会計用語を多用することなく(減価償却などが出てくる程度)、物語に絡めて歴史が紹介されるので非常に読みやすいものになっています。

この本を読むことによって、会計を勉強している人は、ある意味ルールを勉強しているため、会計そのものは不変のもののように感じてしまいがちですが、実は社会の情勢に合わせてその姿を変えてきたものであることがわかります。今勉強している会計はこれまでの社会の情勢をすべてくみ取り、進化してきたものであって、今後はまたその姿を変えながら勉強する範囲を増大させていくのでしょう。

謎の空白があるからと言ってそこまで薄い内容の本ではないので、読むのに時間はかかります。そのため、USCPA受験者の方にお勧めできるわけではありませんが、会計に興味がある人や、経理部門で働いている人は一度手に取ってみてはいかがでしょうか。自分の専門分野が実は深い歴史によって磨き上げられてきたものだと知ることができて、少しモチベーションが上がるかもしれません。

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