四大監査法人の特徴を考える

日本には「四大監査法人」と呼ばれる大きな監査法人が4つ存在しています。しかし、その差がどのようなものかはあまりわからないものではないでしょうか。今回は、監査法人のHPから、情報を抜き出してそれぞれの監査法人の特徴を考えていきたいと思います。ちなみにめっちゃ主観が入ってます。

各監査法人の人員構成を確認

では、さっそく四大監査法人と呼ばれる新日本、トーマツ、あずさ、あらたのHPにある「法人概要」からそれぞれの人員構成をみていきたいと思います。

新日本有限責任監査法人

まずは新日本有限責任監査法人になります。2018年9月30日時点において、以下の人員構成となっております。

  • 公認会計士:3220名
  • 公認会計士試験合格者等:848名
  • その他:1391名
  • 合計:5459名

ここから読み取れるのは、日本の公認会計士以外の人に対するリスペクトは一切ないことですね。後述するその他の監査法人を見るとわかりますが、公認会計士以外を「その他」とあっさりカテゴリー分けしているところは新日本以外にありません。良くも悪くも古い体質の監査法人なのでしょう。

管理人の主観ですが、新日本は「先生」と呼ばれるのが当然と考えている会計士が最も多く在籍している監査法人です。おじいちゃんの群れですね。

全く関係ない話ですが、新日本有限責任監査法人と検索しようとすると「新日本監査法人 不祥事」と予測されるようになってしまったんですね。仕方がないこととはいえ、哀れですね。

有限責任監査法人トーマツ

次に有限責任監査法人トーマツになります。2018年5月末時点において、以下の人員数となっております。

  • 公認会計士:3334名
  • 特定社員:51名
  • 公認会計士試験合格者等:1233名
  • その他専門職:1908名
  • 事務職:261名
  • 合計:6787名

ここから読み取れるのは、圧倒的な拡大志向ですね。公認会計士以外にも2000人を超える人材を雇用し、監査以外のサービスまで業務を拡大しようとする姿勢が見て取れます。人員数が7000名弱まで拡大しているとは、さすがイケイケどんどんのトーマツですね。

管理人の主観ですが、トーマツは体育会系の極みといった監査法人ですね。熱意と気合があれば困難は乗り越えられると考えている人が多そうです。

有限責任あずさ監査法人

次に有限責任あずさ監査法人となります。平成30年9月30日時点において、以下の構成人員となっております。

  • 公認会計士:3282名
  • 会計士補:5名
  • 公認会計士試験合格者:1012名
  • 監査補助職員:1039名
  • その他職員:718名
  • 合計:6056名

ここから読み取れるのは、割と丁寧な姿勢ですね。日本の公認会計士試験が新試験となる前の資格である「会計士補」の人数までわざわざ記載するなんて、そんな昔から修了試験を合格していないと公表され続ける5人は何とも言えない気持ちではないでしょうか。

管理人の主観ですが、あずさは純粋な変人が多い監査法人ですね。割と周囲と話がかみ合わない、といった人が多いかもしれません。驚いたのは、純粋な人数で新日本を抜いていたんですね。知りませんでした。

PwCあらた有限責任監査法人

最後はPwCあらた有限責任監査法人となります。2018年6月30日時点において、以下の人員となっております。

  • パートナー:145名
  • 公認会計士:931名
  • 公認会計士試験合格者等:566名
  • USCPA・その他専門職員:908名
  • 事務職員:612名
  • 合計:3162名

ここから読み取れるのは、人材の多様性ですね。他法人と比べて、公認会計士の割合が全体の50%程度しかありません。それだけ公認会計士は、保守的に大きい監査法人から優先的に入所したがるのかもしれません。ですが、管理人としては「USCPA」の記載があるのがうれしいですね。

また、「パートナー」を抜きだしている理由が完全に謎ですね。また、最大手のトーマツより多くの事務職を抱えている理由も謎です。

管理人の主観ですが、あらたはグローバルかぶれと国際的な変人が集まっている監査法人ですね。周りから「痛い」というレッテルを貼られることが多いかもしれません。

USCPAの取り扱い

最も注目すべきなのは、あらた監査法人の内訳の記載になります。他の監査法人は「その他専門職員」という書き方になっているのと比べて「USCPA・その他専門職員」というグループにしています。

つまり、あらた監査法人が最もUSCPAの割合が高い監査法人と考えられます。まぁ、監査法人の中でも国際派で通っているので、こういう結果になるもの違和感ありませんね。最近は経営が傾いていた大企業の監査を引き受けるという汚れ役を演じていますが、大企業もろとも吹き飛ばないか心配ですね。

※余談になりますが、こういう点が就職活動時の小話として地味に使えます。「御法人のHPのみ、職員のカテゴリー内でUSCPAと記載しており、USCPAも戦力として考えていることが伝わってきます」など、ものは言いようです。もちろんこんなことを前面に押し出す必要はありません、念のため。

最後に

いかがだったでしょうか。監査法人の人員構成をみるだけで、少し各監査法人の特徴がつかめたと思います。とは言っても全て管理人の主観なので、鵜呑みにはしないでくださいね。個人的にガッカリだったのは、「人員構成」の書き方が、監査法人ごとにわざわざ違ったことです。新日本は「人員構成」、トーマツは「人員数」、あずさは「構成人員」、あらたは「人員」という表現になってます。そんなところで差別化図らなくてもいいですから。監査法人に入りたいけど、どこにするか迷っているという人、少しでもこの記事が参考になれば幸いです。

四大監査法人の特徴を考える” に対して2件のコメントがあります。

  1. 渋谷 より:

    はじめまして。
    昨年論文式試験に合格し、現在は大学4年在学中で、トーマツにて学生非常勤として働いてます。
    数年間、big4で働いた後、ヨーロッパの院でマスターを取って、将来は国際機関か外資系の金融機関にて働きたいと考えてます。そこで、合格率も下がりそれなりに費用がかかる終了考査の勉強をするくらいなら、海外でバリューになるuscpaを取りたいと考えております。
    監査法人やuscpaに詳しいあおきさんのご意見をお伺いしたいです。
    宜しくお願いします。

    ※管理人追記:個人の特定につながる恐れがあるため名前を変更させていただいております。

    1. accountingworld より:

      コメントありがとうございます。
      個人的に渋谷さんは「ヨーロッパの院」がMustで、「国際機関か外資系金融機関で働く」は院の後に考えておられるような印象を受けました。その前提でお答えします。
      JCPAの修了考査を完了させてJCPAの資格を取得するか、その手間をUSCPA取得に向けるかという点ですが、仮に「ヨーロッパの院」に向けた英語力が全然足りないと感じる場合は、USCPAを目指してもよいかもしれません。僕も過去にTOEFLとGMATなどを勉強していた時代がありますが、英語がある程度できる人でもこれらの試験で大学院に進めるレベルの点数をたたき出すには相当の努力が求められます。その事前準備としてUSCPAを目指すのはありだと思います。ただ、その場合でもUSCPAよりは英語の学習に集中したほうが良いと思います。
      また、もしすでに海外の大学院を目指せるレベルの英語力をお持ちの場合、USCPAを無理に目指す必要はないと思います。それよりも仕事に集中し、大学院の応募書類に記載できるような経験をたくさん積んだ方が有利になります。
      宜しくお願いいたします。

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