監査法人の魅力(2019年末時点)

皆さんこんにちは。僕は「監査法人」という業界で働いているのですが、監査法人というのは基本的に、合格率が10%前後の難関試験である日本の公認会計士試験を突破した人が就職する先なので、世間にあまり知られておらず、一般的な会社に比べて情報が非常に少なくなっています。ただ、最近では「監査」以外の業務にも手を広げているので公認会計士でなくても就職できる可能性が広がっており、転職検討者の目にとまることも増えていると思います。
※ちなみに僕も公認会計士ではあるのですが、日本の資格ではなくアメリカの資格なので、公認会計士ではない人の部類に入ります。また、監査には携わっていません。

恒例の謎の絵

監査法人としては採用の門戸を広げつつあるのですが、「日本の会計士しか採用しない」というこれまでの歴史から、監査法人に関する情報が非常に少なくなっているので「監査法人に興味あるけどよくわからない」という人がいると思います。そこで、数年以上働いている僕が監査法人の魅力(お金面、業務面、キャリア面)についてまとめてみました。内部の人間の意見として参考にしていただければと思います。

お金面

ではまずお金の面からいってみましょう。この点に関しては他の業種と比較してかなり恵まれています。まず、下っ端から下っ端の上の職階の時点で(法人内ではアソシエイトとかシニアアソシエイト等と呼ばれています)ほとんど残業しなくても年収は500万超えるようになっています。監査法人によってはみなしで数十時間の残業が元からついていたりするので、実質残業時間ゼロでも十数万円分の残業代はもらえたりするそうです。

また、シニアアソシエイトまで出世すると、残業次第で年収1000万近くまで稼げるようになってきます。相当激務なプロジェクトに配属される(かつ問題なく残業代をつけられる前提)必要がありますが。シニアアソシエイトの中でも上の方になると、残業代次第ではその上の職階のマネージャーより稼ぐことが出来る監査法人もあるようです。※マネージャー以上は管理職となるため、残業代が出ないのです。

監査法人の魅力として、管理職であるマネージャーになる前は、「のんびりしてもまぁまぁな年収」そして「努力次第で高い年収」を得られることがあります。さらに、僕が最も「監査法人で良かった」と思うことは、プロジェクトを変えることで、自分である程度この2タイプの働き方を選ぶことが出来る点です。変えたいときに瞬時に変えられるわけではないですが、自分のライフステージに合わせてプロジェクトの希望を出すことで、ある程度の制御は可能です。例えば女性の方がモリモリ働くプロジェクトに配属していた場合、妊娠や子育て時期にそこまで忙しくないプロジェクトに変更し、時短勤務で業務の時間を減らしながらプライベートの時間を増やすといったことも可能です。実際僕はそういう女性を何人も見ており、「ほー」と感心したものです。

ちなみにですが、マネージャー以上になると1000万円以上狙えるようになります。この辺りからボーナスの割合がかなり大きくなってくるようです。そして一番トップのパートナーになり、業績連動の報酬で監査法人の業績が良いと。数千万円から一億を超えると噂を聞いたことがあります。この辺りは僕がまだ経験していないのでヒアリングした情報をもとに記載していますが、実態が判明次第また更新していこうと思います。将来このサイトに「ついにパートナーになりました!今年の年収は1億です( ^ω^ )」とか書く日が来るのでしょうか・・・。

注意点として、福利厚生はほぼ無いです。家賃補助なども基本的にないので、住む場所はしっかりと吟味しないといけません。大手監査法人のオフィスは都市部にありますが、プロジェクトによって勤務先がコロコロ変わるので、どこに行くのも便利な駅の近く(もしくは便利な駅に出るのが便利な駅)に住むのが無難です。

業務面

※この点に関して、僕は監査ではないアドバイザリー業務に携わっているので、その経験からの話になります。

僕の友人は新卒で入社した会社をずっと辞めていないのですが、僕からすると本当にすごいことだと思います。なぜなら、僕は仕事に対して残念ながら割と飽き性なところがあるみたいで、一つの仕事を続けていると、ある日突然「あ、もういいや」となってしまう傾向にあります。そのため、これまで何度か転職することになりました。もちろん転職の理由は飽きたというのがメインではありませんが、仕事に対して飽きやすいのは事実だと思います。

ところが、監査法人は仕事がプロジェクト単位で用意されているため、プロジェクトが終わるごと、または繁忙期が終わるごとに別のプロジェクトにアサインされることになります。つまり、やることがコロコロと変わるわけです。例えば、僕が今携わっている内部統制関連のアドバイザリー業務には、繁忙期が終わっている監査部門からヘルプで何人か参加してもらっています。

まぁ、実際は分野が「会計」や「内部統制」といった具合に決まっているので、やることが大きく変わるわけではないのですが、やはりクライアントが変化すると環境も大きく変わるので、全然飽きることがなく仕事を続けることができます。また、一つのプロジェクトで得た経験と知識を他のプロジェクトに活かすことができるので、リアルに「あ、ここは前回のプロジェクトでやったことだ」という進研ゼミ的なことが発生します。世の中の会社がぶち当たる問題は、割と似たり寄ったりだったりします。

また、仕事内容が1社に絞られないので、その会社特有の知識・経験のみを蓄え続けるというよりは、自身の分野の専門知識に加えてクライアント特有の知識を蓄えるという点でメリットがあります。つまり、汎用性が高い人材になりやすいのです。もちろんその分専門知識とクライアントの業界を取り巻く知識の両方を勉強しなければならないのでしんどいときもありますが、勉強した知識がクライアントのビジネスにモロに影響が出た時など、割と嬉しかったりします。

キャリア面

では監査法人で働くことによるキャリアはどうでしょうか。ここに関しては他の記事でも書いていますが、転職して他社に出て行く場合と、法人に残って出世を目指す場合を考えてみたいと思います。

転職の場合

まず転職して出て行くパターンですが、これまで僕と一緒に働いていた人は大企業からベンチャー企業まで幅広い業界に転職していきました。もはや彼らと連絡をとっていないので、彼らが活躍しているかどうかはわかりませんが、監査法人から出ていく人たちは割と自分が行きたいところに転職しているようです。僕の仮説なのですが、監査法人の内部が世間一般によく知られてないので、転職のとき「専門家」として認識され、過大評価を受けている可能性があります。

法人での出世

僕はこのサイトで何度が記載していますが、監査法人は実は昇進しやすい環境にあると考えています。理由として、監査法人は基本的に日本の会計士で構成されているといるため、日本の会計士は「実家が会計・税理士事務所である」という人が多く、いざ実務経験を積んで会計士の資格を取ると、家業を継ぐために退職して地元に帰省する人が必ず一定数いるのです。この時点でライバルが減少することが約束されています。

そして、上記にも書いたとおり転職市場でも監査法人出身者は一定の評価を得ている(多分)ので、転職しようと思った人は容易に抜けられるようになっています。僕が監査法人に入ってから、僕の周りで辞めた人は約10人、辞めるかもと相談を受けた人も入れるともっと多くの人数になります。

つまり、法人内にずっと残り続けるだけで周囲の人間が辞めていき、残っているだけで貴重な人材となるため、じわじわ出世していくのです(表現が後ろ向きですが)。コツコツと勉強を続けてクライアントへ価値を提供し続ければ、間違いなく出世し続けていくと思います。余談ですが、僕は一番上の職階であるパートナーまで各職階に「こいつがこの職階まで昇進できるのであれば、僕にも昇進できるはず」という安心リストを心に秘めています。

まとめ

今回の記事を書いてみて、公開前に冷静に見返してみたのですが、監査法人は働く場としてメリットが盛りだくさんということに気が付きました。「僕は20、30代で年収数千万円にどうしてもなりたいんだ!」みたいな人でなく、上記のメリットを魅力的に感じる人であれば、就職先として一度考慮してみてはいかがでしょうか。冒頭にも書いたとおり、近年の監査法人は監査だけでなく、監査以外のアドバイザリー業務にも力を入れているので、会計士でなくても入れる部門が増加しています。

追記

これは追記になるのですが、僕は最近不動産を購入することになりました。この低金利時代なのでもちろん頭金などほとんど出すつもりもなく、全てローンでまかなおうと考えていました。実際にローンの審査に出してみて、監査法人の強さを知った気がします。まだ事前審査の結果なのであまりに具体的な数値を言うとアレですが、フルローン分のローンがOKでしたし、優遇金利を2%ほど受けることができました。

また、申し込みの際に必要書類に会社名を記載した途端に不動産屋から「めちゃめちゃ大手じゃないっすか!」と驚かれましたし、響く人には響く業界なのだと思います。なんにせよ、ローン審査という点でも、監査法人はプラスに働くことがわかりました。

以上で監査法人の魅力、2019年末時点での情報を終わりたいと思います。もちろん今後働いていく上で、もっと別の観点の魅力を発見できるかもしませんし、今魅力に思っていることは実は間違っていると発覚するかもしれません。その辺りについては、今後もアップデートしていけたらと思います。

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