財務分析入門~貸借対照表1~

USCPAの勉強をしているときは「USCPAになったら財務分析とかもバリバリ出来るようになるんだろうなぁ」とか漠然と考えていたのですが、冷静に考えたら財務分析は実際に財務諸表とにらめっこしなければそのスキルが伸びるわけがないと気づいたので、このサイトでコツコツと作業を続けていきたいと思います。まずは、財務分析に入る前に、財務諸表とは一体なんぞやというところから振り返っていきます。

<はじめに>

このサイトは僕がUSCPAの勉強を始めたときに書き始めた勉強記録が元になっているのですが、当時は財務諸表について試験勉強で必要になるところだけ勉強して、その意味についてまで全然理解していなかったと思います。むしろ今でも理解しているとは言えないかもしれません。そこで、今回は確認も含めて「財務諸表とは何か」ということを書いていきます。順番としては「貸借対照表」「損益計算書」「キャッシュフロー計算書」の順で更新する予定でです。

貸借対照表の説明に入る前に、「財務諸表って一体何だ」ということから入っていきます。財務諸表とはその名の通り「財務に関する々の」な訳で、財務に関する色々な表ですということになります。どうしてそんなものがあるのですか、ということになりますが、企業(ここでは簡単に企業とします)はこれらを作成して開示する義務があるのです。

<財務諸表に関する義務>

証券取引所に株式を公開しているような大企業は財務諸表を開示しなければなりません。また、株式を公開していなくても「決算書」を税務署や金融機関に提出する必要があるため、また自分自身の状況を把握するため、企業は通常財務諸表を作成しています。そして、企業が開示する財務諸表のうち、重要なものは以下となります。

  • 貸借対照表
  • 損益計算書
  • キャッシュフロー計算書
  • 株主資本等変動計算書

このうち、財務分析をするうえで必要となるのは、上から3つまでです。僕が考える財務分析では株主資本等変動計算書はそこまで重要ではありません。つまり、上記3つに何が書かれているのかを理解できれば、簡単な財務分析はすぐに出来るようになります。

では初めに、重要な3つのうち、一番上の貸借対照表の説明から始めてみたいと思います。まずは貸借対照表の由来について書き、その後に貸借対照表とは何かについて書いた後、貸借対照表に書かれている項目の意味について説明していきたいと思います。では、貸借対照表とは何かについて入っていきます。

<思い出ムダ話>

貸借対照表の説明に入る前に、少し個人的なことを。実は今だから言えますが、過去に会計の勉強を開始したとき、僕は「貸借対照表」という名前が大嫌いでした。理由は名前を見ただけでは全然意味が分からなかったからです。まず、読めない。読み方はどうやら「たいしゃくたいしょうひょう」というらしい。なにそれ。意味不明。貸す?借りる?対照する?何それ?みたいな感じでした。さらに「英語ではバランスシートと言い、BS(びーえす)と読む人もいます」らしい。当然ながら即効挫折しました。あの時に僕が手にした簿記の本は完全に睡眠薬でした。読めばすぐ寝られる優れた書物だったのです。

その後、留学中にもう一度Financial Accounting、つまり財務会計の講義を受講したときに、貸借対照表がBalance Sheetだということを知りました。あ、BSってBalance Sheetの頭文字をとったものなのね、と思ったのを覚えています。今思うと日本語で簿記を勉強したときもしっかりと読み込んでいれば理解できたかもしれませんが「貸借対照表」という漢字の連発でネガティブな印象を持った僕にしっかりと読み込むことはできませんでした。

留学当初に話を戻しますが、不思議と英語で会計用語を覚えるのは苦ではありませんでした。英語自体が意味不明なこともありますし、英単語には漢字のように意味が付与されていないので、ひたすら何も考えずに暗記すればよかったからだと思っています。また、英語で会計を勉強することによって、英語と会計の両方を身に着けられる、つまり一石二鳥の効果が得られるという打算的な考えもありました。このように、簿記で出てくる単語に苦手意識がある人は、とりあえずその単語の意味を深く考えずにとにかく一旦暗記するのも一つの方法になります。後から簿記のスキルが上がってくると自然とその意味がわかるようになります。さて、大きく脱線してしまいました。では、結局貸借対照表とは何なのかについて書いていきます。

<貸借対照表という名前の由来>

ではまずは名前の由来から入っていきたいと思います。上記の思い出話で僕がいきなり躓いたように、どうしてBalance Sheetの日本語訳がこの名前なのかがよくわかりません。直訳すると「残高表」になるはずです。僕がこれまで勉強してきた中で「貸借対照表」の名前の由来には2つの説があることを発見しました。

1つめの説明は、「貸方と借方の合計金額が一致、つまり対照になる表」だから、貸借対照表になるというものです。僕が最初に勉強したときはこちらの説明で覚えました。それなら左が借方で右が貸方なのだから「借貸」対照表にして覚えやすいようにしてくれよ、と思いますね。この説明では、英語でBalance Sheetというので、貸方と借方がバランス、つまり対照になるのでそれを翻訳して貸借対照表と呼ぶようになったと記載されていました。一理ありますね。

2つめの説明は、Balance Sheetとは企業の財政状態の残高、つまりBalance(Balanceには「残高」という意味があります)の一覧を示す表なのでBalance Sheetと呼ぶというものです。実は金銭に関して英語でBalance(バランス)という単語を使用する際には、ほとんどが残高を表すように使われています。そのため、実は貸借対照表という翻訳は正しくなく、「残高一覧表」という翻訳の方が正しいという説になります。簿記の概念が日本に輸入されたとき、翻訳したのはあの福沢諭吉さんらしいですが、彼が翻訳した結果、100年を超えて僕を苦しめることになったのですね。僕個人としては、残高一覧表が正解の説を信じています。

さて、盛大に遠回りしましたが、ここから貸借対照表と何かについて記載していきます。ここからが本番です。

<貸借対照表>

貸借対照表とは何なのか。会計についての本などを読むと、以下のような記載になっていると思います。

「ある一定時点での企業の財政状態を示したもの」

これは実際その通りなのですが、会計が苦手な人が見れば、すでに意味不明な説明になってしまっていることが問題です。なので、もう少しこの文章を簡単にしてみると、以下のようになります。

「ある一定時点での企業の持ち物一覧と、それをどのように手に入れたのかを示す表」

少しわかりやすくなりましたね。貸借対照表には、企業が何を持っているのか(持ち物)、そしてそれはどうやって手に入れたのかが書いてあります。難しく考える必要はなく、企業が何を持っているのか、どうやってそれを手に入れたのかを表す表、で十分だと思います。このことを理解するために、貸借対照表の中身を見ていきましょう。

<貸借対照表の中身>

貸借対照表を実際に見てみると、中には大きく分けて以下のカテゴリーがあることがわかります。

  • 資産
  • 負債
  • 純資産

この時点で「勘弁して」という人もいると思います。わかります。だけど、残念ながら、この3つは重要です。次の記事でこれら3つがどういうものか説明するので、今は3つの内訳があることだけを覚えてください。

~ここでまさかの思い出話~

この3つを見ると僕は留学時代の財務会計の最初の講義を思い出します。当時は「ディスカッションが苦手だから会計でも受講しようかな」と軽く初回の講義に顔を出したのですが、第1回目の講義で先生はずっと同じことを言い続けていました。それが以下になります。

Asset = Liability + Equity

日本語これは日本語にすると、資産 = 負債 + 純資産となり、先ほど書いた貸借対照表のカテゴリーと一致します。当時の僕は「さっきからずっと同じ単語連発しているけど、こいつ大丈夫か?」くらいにしか思っていなかったのですが、あの先生は本当に重要なことを僕たちに伝えようとしてくれていたのだと思います。

その時に90分講義があったのですが、覚えているのがそれくらいと言えるくらいに本当にしつこかったですが、今となってはあの時のしつこさがありがたいです。それくらい、資産 = 負債 + 純資産は大事です。資産は、負債と純資産を足したものなのです。会計をやればやるほど、この式の深さが身に沁みます。皆さんも、とりあえず騙されたと思って「資産 = 負債 + 純資産」を暗記してみてください。

次は、この貸借対照表のカテゴリーである資産、負債、純資産について説明していきたいのですが、結構長くなってしまったので今回はここら辺にしておきたいと思います。

次の記事:貸借対照表2

ではでは。

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