財務分析入門~貸借対照表2~
財務分析のために財務諸表について詳しく解説して自分の知識を振り返ろうコーナー、今回は貸借対照表についてその2となります。前回は貸借対照表について由来やその中身について簡単に見てきました。
- 前回の記事:貸借対照表1
今回も引き続き貸借対照表についてみていきます。内容としては、貸借対照表のカテゴリー(資産、負債、純資産)についてになります。それでは、資産とは何かから見ていきましょう。
資産
まずは資産について説明していきます。前回も言った通り、貸借対照表は「資産=負債+純資産」で構成されています。その左側の「資産」ですね。
会計や簿記の教科書などを見ると、資産について以下のような説明がされていると思います。
資産とは「将来において収益をもたらす潜在的能力をもつ物財及び権利」のことである。はい、難しいですね。こんな説明で簿記を勉強しよう!という人口が増えるとはとても思えないです。話は反れますが、僕は留学時代に「Asset」の意味が分からなかったので、一旦Google翻訳して「資産」と判明したので、さらに「資産」を日本語で検索したときに上記のような定義にぶつかりましたが、意味不明すぎてイライラしました。
もう少し簡単に説明すると、貸借対照表において「資産」とは「企業の持ち物」になります。つまり、貸借対照表を作るときに企業が何を持っているかを表すものが「資産」という項目になります。例えば、3月31日時点で企業が貸借対照表を作る場合、その時に持っているものを資産とします。現金、設備、土地、建物などはもちろん、工場や商品の在庫なども含まれます。
実際に企業が開示している貸借対照表を見ると、よくわからない細かいものも含まれていますが、そんな科目は無視しても大丈夫です。重要なのは、貸借対照表において「資産」はその企業の持ち物ということです。
では「資産」の場所には適当にその時持っているものを記載すれば良いのかというとそうではなく、すぐに現金化できるものとそうではないものに分けて記載する必要があります。1年以内に現金化できそうな持ち物は「流動資産」といい、それとは別に長期間使用して売上を生み出す持ち物は「固定資産」といいます。以下でもう少し具体的に見ていきましょう。
・流動資産
1年以内に現金化できるであろう持ち物になります。例えば現金、売掛金、商品、すぐに売りさばくつもりの有価証券(株や債券など)があげられます。
・固定資産
長期間使用して現金を生み出す持ち物になります。例えば機械設備や工場、建物、ソフトウェアや土地などがあります。設備は誰かに売って儲けを得るわけではなく、それを使って商品を作って売る(現金となる)ものですね。
以上が資産の説明になります。まとめると「貸借対照表における資産とは企業の持ち物のことであり、すぐに現金にできる流動資産と、使用して現金を生み出す固定資産がある。」となります。次は、負債の説明となります。
負債
負債は貸借対照表における「資産=負債+純資産」の右側を構成するものになります。
会計の教科書などをみると、負債とは「法人が将来的に他の経済主体に対して引き渡す義務」と似たようなことが書いてあると思います。もはや初心者を混乱させるためにいちいち難しく書いているんじゃないかと疑えるレベルですね。もちろんこちらも留学時代に「Liability」を翻訳して「負債」と知り、そこからさらに「負債」を検索して上記のような文章にぶつかりイライラしたのを覚えています。
もう少し簡単に説明します。実は「負債」と次に説明する「純資産」の両方に共通することなのですが、簡単に言ってしまうとこれらは「どのように資産(持ち物)を手に入れたかの一覧」ということになります。その中で「負債」は、他人からの借入れを表します。つまり負債とは借金ということです。難しい言葉でいうと「他人資本」とも呼ばれ、最終的に絶対に返済しなければならないものになります。借金ですから当たり前ですね。負債の中でも1年以内に返済する必要がある負債を「流動負債」、1年以上返済猶予がある負債を「固定負債」と呼びます。
・流動負債
1年以内に支払う必要がある借金のことです。買掛金や未払法人税等、支払手形などがあげられます。
・固定負債
1年以上返済まで猶予がある借金のことです。長期借入金や社債などがあげられます。
以上が負債の説明でした。負債は「最終的に絶対に返済しなければならない借金」と覚えれば問題ありません。次は、純資産の説明にはいります。
純資産
純資産は、貸借対照表における「資産=負債+純資産」の右側を構成するものになります。
会計の教科書などを見ると、純資産は「資産総額から負債総額を差し引いたもの」となっていると思います。過去には「資本」と呼ばれていました。ちなみに純資産である「Equity」あたりから、英語の会計用語を日本語に訳してから理解しようとする試みは、日本語の検索結果が意味不明だったのでストップしました。今思えば、いちいち翻訳せずに、会計用語を英語でそのまま覚えたのは懸命な判断でした。
純資産を簡単に説明すると「どのように資産(持ち物)を手に入れたか」という一覧になります。先ほどの返済する必要がある負債(借金)とは異なり、純資産は返済する必要がないものとなります。厳密にいうと若干異なりますが「自己資本」とも呼ばれます。純資産の内訳は結構複雑なのですが、「資本金」と「利益剰余金」の2点を覚えていれば大丈夫です。
・資本金
株式を発行して持ち物を得るとこの科目になります。借金じゃなくて自分(の株式発行)で資産を手に入れたという科目です。
・利益剰余金
これまで稼いだ利益が積み上がったものです。科目名に「金」とついているので、現金のように感じるかもしれませんが、そういうわけではありません。
純資産は、会計に慣れていない人にとっては一番理解しにくい分野だと思います。そのため、とにかく純資産については、資産(持ち物)をどのように手に入れたのかという一覧で、負債(借金)じゃないほうと覚えておけば大丈夫です。
以上で、貸借対照表の内訳の説明を終わりにしたいと思います。重要な点は、資産とは企業の持ち物であり、負債と純資産はその持ち物をどのように手に入れたのかを示すものだということです。
資産 | 持ち物 |
負債 | 借金 |
純資産 | 自分(株主)の取り分 |
とりあえずはこの3つを覚えておけば、次のステップである各勘定科目の内容まで理解しやすいと思います。次回からは資産(持ち物)の内容についてみていきたいと思います。
次の記事:貸借対照表3
ではでは。