【読書感想文】成瀬は天下を取りにいく
いつもは調子こいて「書評」みたいなタイトルをつけたりするのだが、この本に関してはそんな調子こいた文章は到底許されない。学生時代を思い出す「読書感想文」がふさわしい。ということで今回は宮島未奈氏による「成瀬は天下を取りにいく」をネタバレ無しで書こうと思います。

とは言え、何を隠そう、実は私は小学校時代にあった宿題の中で、読書感想文は本当に苦手だった。今だから言えることだが、1回も先生に提出したことはない。適当に原稿用紙の内容を埋めて、学校に持っていく振りをしてゴミ箱に捨てていたのだ。今思うと親によるレビュープロセスが無く内部統制としてどうなんだという気持ちはあるが、当時の私にとって読書感想文は拷問以外の何物でもなかった。
どうしてわざわざこんなことを書いたのかというと、今回の読書感想文は勢いだけで乗り切ろうと思っており、それをごまかすための言い訳をしたかったからである。では、さっそく勢いで乗り切ろうと思う。
感想
さて、ネタバレ無しで書いていくと冒頭に書くことにより自分に縛りをかけてみたわけだが、さっそく詰まってしまいそうだ。ただ言えることは、このようなブログを書くほどには「とにかく読んでみてほしい」という気持ちを持っていること、そして人におすすめしたいと思えるような本であったということだ。最近ブログの更新をサボりにサボっている状態でも書いてみようと思わせる何かがこの本にはあったと思う。それは一体なぜなのだろうかと考えた。
まず、タイトルにもなっている主人公である「成瀬」がなんというか、非常に味のあるキャラクターなのだ。皆さんもこれまで本や漫画、あるいは映画などで「なんかこのキャラ好きだわ~」というようなキャラがいたと思う。まさにそんな感じなのだ。その成瀬の言動・行動が非常に味があり「次は一体どんな行動・発言をするのだ」と本を読む手が止まらなくなるのだ。
もちろんその成瀬を取り囲む周囲のキャラクターも魅力的であり、全体としてのまとまりをしっかりと演出してくれている。本の構成が全て成瀬による目線を中心に書かれているわけではなく、様々な登場人物の目線を通じて成瀬の生態を複合的に表現しており、上記のような「味のある」キャラクターとなっている。
そして、この本は読んでいて不快な気分になる描写がほとんどないと言っても良い。個人的にはグロいシーンや不愉快な悪役のシーンなどは読んでいて疲れるのだが、この本に関してはそういうものがなく。、読んでいてさわやかというか、晴れやかというか、ポジティブな気分になる。
「いやほめすぎてしんどいわ。」と思われるかもしれない。正直自分でも書いた内容を読み返して「いやこれほめすぎやな。逆に胡散臭いな。」と感じるところはあった。正直に。まぁ仕事で疲れ切った深夜近いテンションで書き上げたんだ、これくらいは許してほしい。
読む前に少しでも情報を与えずにおすすめしようとしたら逆に胡散臭くなったが、それは仕方ない。とはいえ、別に絶対にネタバレを隠さないといけないような内容の本でもない。ただ私は、この本が持つフレッシュさをそのままで味わったほしかったのだ。
最後になるが、読み終わった後に、ふと「学生時代にこの本が出版されていて、自分が読んでいたらどうなっていただろう」と考えた。きっと、脳のどこかに強い衝撃を受けていただろう。厨二病が悪化していた可能性は高い。(終わり)