監査法人の採用意欲の推移

僕は監査法人の非監査部門に勤めていますが、運が良いことに僕のよく連絡を取る人の中に人事担当の方がいます。そのため、現状の監査法人の採用意欲、つまり、どの程度採用の門戸が開かれているかを知ることができます。そのため、市場環境が変わったなと感じることがあれば、その人に対して「今ってどんな感じの人を採用してるんですか」と質問し、その時の監査法人の採用に対する本気度を聞き出し、Twitterで「USCPAの皆さん、今がチャンスです」や「今は勉強に専念した方が良いかも」などとつぶやいて、監査法人に入りたい人へ少しでも情報提供をしようとしてきました。

そこで今回は、監査法人の採用に対する意欲をこれまでの時系列にまとめたいと思います。この流れを見ることによって「結局監査法人も他の業界と同じように(むしろ他の業界よりも)世の中の景気に左右される」ということがわかるでしょう。注意点としては、この内容は僕が所属している監査法人と部門に限られており、すべての監査法人に完ぺきに当てはまるわけではないということです。ただ、監査法人という業界はBig4と言われる大手監査法人であれば、正直どこも横並びで特に差別化もされていないので、僕の所属している部門の状況がある程度どんな監査法人にも似たような箇所はあると考えています。

今回の記事のコンテンツは以下となります。

  • 応募者のレベル
  • 監査法人における採用意欲の推移

それでは、さっそく内容に入っていきたいと思います。

応募者のレベル

さて、まずは応募者のレベルから説明します。応募者のレベルとは、あえて厳しい言い方をすれば「応募者の水準」ということになります。もう少し具体的にいうと「知識レベル」と「経験(キャリア)」にわけることができ、それらの組み合わせで応募者のレベルが判断されることになります。ちなみに僕は応募者についてランク付けするような「レベル」という言い方はあまり好きではありませんが、この方が伝わりやすいと思ったのであえてこのような書き方をしています。では「知識レベル」と「経験」について1つずつ見ていきましょう。

知識レベル

知識レベルとは簡単に言うと、どれだけ勉強して知識を身に着けていますか、という水準になります。知識レベルは以下のようなランク付けになっています。

  1. 公認会計士資格保持者
  2. 公認会計士合格者
  3. USCPAライセンス保持者
  4. USCPA全科目合格者
  5. USCPA科目合格者
  6. 勉強中

当たり前ですが日本の公認会計士資格が一番レベルが高いです。会計士資格を持っていると、どんな労働市場でも監査法人にいけば「とりあえず話だけは聞いておこうか」と面接まではいけます(と採用担当者は言っていました)。次にほぼ同じレベルなのが日本の公認会計士の合格者です。これは2次試験まで合格している場合と、1次試験(短答式?)までしか合格していない場合で天地の開きがあり、1次試験を突破しただけではUSCPA全科目合格者より低いレベルに該当します。1次試験を突破したとしても2次試験に落ちれば何も残りませんからね。逆に、2次試験も突破している場合はほぼ公認会計士の資格が約束されているようなものなので、非常にレベルは高くなります。

次にレベルが高いのがUSCPAライセンス保持者です。1点注意してほしいのは、2番目の日本の公認会計士合格者と3番目のUSCPAライセンス保持者の間にはとんでもなく高い壁が存在しているということです。俗にいう超えられない壁ですね。実際に勉強してみるとわかると思いますが、日本の公認会計士の資格とUSCPAでは求められる知識量が段違いです。実際に監査法人で働いてみて「そりゃ日本の公認会計士を採用するよな」と納得できるレベルで日本の公認会計士の方が知識レベルが圧倒的に高いです。

続いてUSCPA全科目合格者。こちらについては、USCPAライセンス保持者とそこまで変わらないと考えていただいて大丈夫です。ただ、USCPA全科目合格した後に長期間ライセンスを取得していなかった人や、今後も特に取得する予定がない人は、なぜライセンスを取得していないか簡単に説明できるようにしておいた方が無難です。

続いてUSCPAの科目合格者です。FARやBECだけは受かっていて、残り数科目で全科目合格する状態の人を言います。ここはUSCPA全科目合格者からするとさらにガクッとランクが落ちてしまいます。ただ、最後の勉強中の人と比べると少しは合格実績があるため、口だけではなく本気で勉強しているということを実績でアピールすることができます。

そして最後は勉強中となります。日本の公認会計士は勉強中というステータスの人が監査法人に転職活動することはほとんどないので、ここではUSCPAの勉強を開始している人材ということになります。ここははっきり言って無資格かつ実績0なので、ほぼ知識レベルについては何もないということになります。

経験(キャリア)

こちらについては想像しやすいと思います。監査法人へ転職する際に、自分がどの程度その分野のキャリアを積んできたかが重要となります。「え?監査法人って監査をするところだから、これまでのキャリアってそこまで関係ないんじゃないの?」と思われる方がいるかもしれませんが、そんなことはありません。実際の監査法人のHPを見ていただけるとわかると思うのですが、監査法人は基本的にクライアントの業界によって自分たちの部門を分けており、例えば「金融部門」「製造部門」「IT部門」といったようになっています。そのキャリアの有無と、もう一つの軸として経理経験の有無で採用されるかが変わってきます。経験のレベルについては下記のようになると思います。

  1. 業界の経理経験あり
  2. 経理の経験あり
  3. 業界の経理以外の経験あり
  4. 経理の経験なし
  5. 無職

それぞれ簡単に説明します。

まずは希望する業界において経理経験がある場合です。これが一番経験レベルとしては高いものになります。例えば自分が応募する監査法人の部門が金融部門だった場合、メガバンクの連結チームで経理経験を積んでいる人だった場合、仮に公認会計士やUSCPAを取得していなくても採用される可能性はあります。

次は経理の経験の有無となります。僕は監査法人に転職したときは、応募する部門の業界にはさっぱり疎かったですが、経理の経験を短いながらも積んでいたので、ここに該当することになりました。

次に応募する部門の業界の経験のみ有している場合です。こちらは未知数なのですが、キャリア担当の方の発言から考えてみると、「あって損をすることはない」ということが言えます。何度かUSCPA勉強中という人が同じプロジェクトにアサインされ、その人は前職でその業界に携わっていた人でした、ということがありました。

次は業界の経験も、経理の経験もない社会人の場合です。この場合は割とUSCPAの科目合格、出来れば全科目合格が欲しいところです。

最後は無職の人です。まずは、USCPAの科目合格、そして全科目合格を目指しましょう。僕は仕事をしながらUSCPAの勉強をすることを推奨しています。正直、仕事を辞めてまで専念する必要はないと思っています。

監査法人における採油意欲の推移

さて、ようやく本題の監査法人における採用意欲の推移に入っていきます。2019年の3月あたりからの僕のつぶやきを基に、再度監査法人の採用意欲についてまとめなおしました。

2019年3月:USCPA科目合格者が採用されるようになりました。また、これに加えて業界や経理の経験があると、かなりの確率で面接までいけるようになりました。このころから採用拡大の傾向がコロナ発生までつづくことになります。

2019年5月:USCPA科目合格者の採用が続きます。それだけではなく、なんとUSCPAの科目合格者であれば業界の経験の有無を問わない状況まで採用が拡大していきます。

2019年6月:ついにUSCPA勉強中(科目合格無し)でも面接まで通るようになりました。さすがにそれはやりすぎだろうと思っていたのですが、なんと経験によっては普通に採用されるようになりました。言ってしまえば科目合格を一つも持っていなくても「USCPA勉強中です」と言えば採用されるというケースがみられるようになりました。僕にとってはかなり衝撃的な出来事でした。

以後、1年ほど採用拡大の局面は続きます。

2020年6月:コロナの影響を様子見するためなのか、採用を若干絞り始めます。コロナが最初に発見されたのが2019年の年末だったことを考えると、少し動きが遅いような気がしますね。USCPAは全科目合格であれば、何とか面接まで行ける可能性ありという状況でした。業界の経験があれば書類選考のときに少し有利になるという程度でした。

2020年9月:コロナの影響により先の見通しが立たないため、採用をかなり絞っている状況でした。監査法人側としても、面接に呼びたくても呼べない状況が続きます。日本の公認会計士であれば、業界の経験ありの場合に面接までいける可能性はあるが、それ以外はほぼ絶望的な状況となっていました。USCPAの採用は厳しく、日本の会計士であれば何とかなる可能性があるという、差を見せつけられることになりました。

2020年10月:監査サポートの応募をかけたところ、応募者が殺到しました。倍率的に合格率が非常に低い状態となる。完全に法人側が採用を絞っている状況であり、かなり応募者にとって厳しい環境が続きます。

2021年3月:コロナで一旦絞った採用について、ほぼ絶望的な状況が続きます。以前に書類審査で通していたようなキャリアの人も、当たり前のように書類審査の時点で落とすような状態となります。まぁ国としてグズグズな状態だったので、採用どころじゃないということもわかります。

2021年6月:じわじわと採用の門戸を開き始めた状態。新入社員が入社したことと、新しい働き方が法人内に浸透し始めたことにより、少しずつ余裕が出てきた模様ですが、まだ予断は許さないと思います。

こうやって見てみると、2020年中盤を境に一気に採用の幅が絞られたということがわかります。そして2021年の後半にかけて、少しずつまた採用の門戸が開かれるようになるのではないでしょうか。僕がちょくちょく相談している人事担当の人も、最近は少しずつ面接の予定が入るようになってきたので、USCPA勉強者は今のうちにできる限り全科目合格までもっていけるようにするのがおすすめです。もちろん、監査法人に興味がなければ自分のペースで勉強するのが一番です。

もちろん、最新の監査法人の採用意欲について判明したことがあれば、Twitterでつぶやくことになると思いますので、そちらを参考にしていただければと思います。

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